今日も一人、俺は自室で布団に潜る。
 音楽プレーヤーで再生回数トップのトラックを選択する。家族が部屋に入ってくるかも知れないから、足音を察知できるようにイヤホンは片耳にだけ嵌めた。
 短パンに手を忍ばせ、下着の上から大きく優しく揉む。彼の顔を思い浮かべながら摩すると、少しもしないうちにむくむくと角度をつけてきた。
 音楽プレーヤーの再生ボタンを押す。
『今日も良い子で待ってたか?』
「あっ、秋吉……うん。待ってた……ッ」
『嘘つけ。手、もう中で遊んでんじゃん。待ても出来ない悪い犬だな』
「ん、ふぁ、ごめ」
 片耳から脳に、秋吉の低くて甘い声が痺れ渡る。

 秋吉は岩鳶出身在住の声優だ。1歳年上で、現在も岩鳶高校に通っているが、出席は不定期。彼は『プルプル太郎』というちょっとフザケた芸名で活動している。本名と少しも掠っていないから、名前だけでは誰も判らない。顔出しもしていない。だから岩鳶高校には、秋吉が声優だと知っている人は存在しないのだ。
 出演ジャンルが、一般向けのアニメなどではなく、ドラマCDやシチュエーションCDというものだ。田舎住みがそうそう足を踏み入れられるジャンルではない。
 だがその手のCDを聴き込んでいる俺は気付いていた。本人は声を変えているつもりだろうが、俺の鍛えられた耳は僅かなクセも逃さない。
 『プルプル太郎』が秋吉だと気付いてから、俺は更に聴き込んだ。
 ――この下肢を蕩かす甘い声は、秋吉が出している。俺は秋吉に攻められている。秋吉は俺が好きで、お仕置きをしてくれたり……。色んなシチュエーションを楽しみ、満たされた。
 
 耳元では、悪い犬の俺に秋吉がお仕置きをしようとしている。秋吉も満更ではないのか、俺を脱がしにかかるだけで息を荒らげていた。
 顔中にえっちな音を鳴らしながらキスが落とされる。
「んっ、んぅー……。秋吉もっと……触って」
『あれ、この先っぽからいっぱい出てる汁はなに?』
「秋吉が好きすぎて出たえっちなお汁……」
『このままじゃ布団もズボンも濡れるね。啜ってほしい?』
「うぅ〜……俺の愛液、秋吉にいっぱい吸って飲んで欲しっ」
 秋吉の言う部位を執拗に弄る。痛いんじゃないかってくらいに、俺は先端をぐりぐりと虐めた。尿道に指が入りそうなほどに力を入れると、それに反応するように汁がたっぷり溢れてくる。
 擦ってじゅくじゅくと音をたてると、秋吉は喜んでくれた。
 俺の失態に、甘い吐息を漏らしながら笑う。本当に秋吉の息が俺の耳に吹き掛かったかのように擽ったくなった。
 イヤホン越しの秋吉が、本物に近い音を出して、俺のえっちな汁を啜っている。その音が非常にえろくて、後ろの穴が疼いた。でも今日は、秋吉は後ろを弄ってはくれない。お仕置きだから。だから俺も、勝手に指を挿れちゃダメ。
『わかる? 穴がすっっごいパクパクしてるよ。俺の食べたいの? でもダメだからな』
 ほら、秋吉は鬼なんだ。欲しがってるのを判っているのにくれないなんて、鬼畜だ。
『でも、挿れない代わりに、舐めてあげるね』
 ぴちゃぴちゃ音が響く。部屋中に反響してないか心配になる。
「秋吉もうだめ、やめて……。えっちすぎるよ」
 でも聴くのはやめられない。
 実際に、現実で、本当に、秋吉に舐められたい。

 学校で会ったりしたら、話しかけられたりしたら、俺はどうなるんだろう。もしかしたらその場で発情して、秋吉を困らせてしまうかも知れない。
 廊下で、全校の皆が――ハルや渚や怜にも見られている中で、俺は秋吉のズボンを脱がして、大きくて太いモノを懸命にしゃぶるんだ。想像するだけでも、イキそう。

 お仕置きだから、俺は中途半端に刺激されいる。それを自分で過剰に快楽を与え続けて、白く弾けた。
 プレーヤーの中の秋吉はもう喋っていない。息を整えてから、枕元のティッシュを数枚重ねて、自分のものを拭く。掌や指もしっかり拭いて、――いつもの自己嫌悪が始まる。


2014/02/02
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