肌寒さと柔らかい光、鳥のさえずりで、大河は目を覚ます。が…
「!!」
瞳を開くと、映ったのは綾音だった。
驚いて後ずさり、大河は改めて綾音の顔をまじまじと見つめた。
結婚式を挙げ、一緒に住みはじめて一週間。
いつもなら綾音の方が早起きなので、こんな明るいところで綾音の寝顔を見るのは初めてだった。
無防備な寝顔が可愛らしく、思わず緩む頬。
もう一度近づき額や頬にそっと唇を寄せると、彼女はくすぐったそうに身をよじらせ、ゆっくりと目を開けた。
「…おはよ」
バチッと目が合った瞬間、綾音は真っ赤になってあわてふためきながら起き上がった。
「…た、大河くん…な、なな、何して…?」
口をパクパクさせ、耳まで真っ赤になりながら動揺している綾音に、大河は内心ニヤリと笑いながらも、しれっとして言った。
「何って…『おはようのチュー』?」
「!!」
顔を赤く染め、固まる綾音に、大河はキスを求めるが、クッションを顔に押し付けられる。
「…綾音…」
「…も、もう!ふざけないで、大河くん!今日は忙しいんだから早く起きなきゃ…」
そう言って綾音はそそくさと寝室から出て行った。
「ちぇっ」
物足りなさそうな大河だったが、しぶしぶ綾音に続いて寝室をあとにした。
「ね、どこから行く?」
ウキウキと街を歩く綾音。
仕事の関係で、結婚してから今日までは二人でゆっくり買い物をする機会がなかった。
「どこでも…綾音が行きたいとこでいいよ」
「ほ、本当?じゃあ…あそこの雑貨屋さんに行ってから…お茶したいな」
「いいよ。」
大河は不安そうな綾音に微笑み、そして、顔を背け、真っ赤になりながら右手をそっと差し出した。
綾音は一瞬驚き、しかし嬉しそうにその手を握り返した。
(こんな幸せな時間が)
(いつまでも続きますように)
そう思いながら、歩く二人の心は温かだった。
HAPPY TIMEあとがき
明日香さん、お待たせして申し訳ありませんでした…!
とにかく…とにっかく!ラブラブさせてみました!
『大河は絶対二人になると甘えるキャラだろう!』という栞の思い込みによりこんなことに…(笑)
好きなカプがイチャイチャしてるのは、ものすごく好きなのですが書けません(泣)
どうかお許しください…!
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