いつからだろう
彼女といると楽しいと思ったのは
いつからだろう
彼女を可愛いと思ったのは
いつからだろう
彼女のそばにいたいと思ったのは
いつからだろう
彼女を誰にも渡したくないと思ったのは
わからない
けれど いつのまにか
好きになってたんだ
クリスマスが近づく今日この頃。
俺はかーさんに頼まれて、買い物に来ていた。
何か面白いものはないかと辺りを見渡していると、近くの店に見覚えのある顔が。
黒く長い髪、白い肌、大きな瞳。
うちの野球部のマネージャー、そして俺の想い人である鈴木綾音だ。
クリスマスプレゼント選びだろうか。
たくさんあるマグカップを睨み、溜め息をついている。
声をかけようと、踏み出した瞬間、俺の足は止まった。
彼女の隣に一人の男がやってきた。
(…佐藤…寿也…)
なにか話した後、そのまま2人は笑顔で家の奥に消えたが、俺は追いかける気になれなかった。
彼女が…マネージャーが佐藤に憧れていることは、知っていた。何度もこのネタでマネージャーをからかったのだから。
知っていたのに…
(…なんで、好きになっちゃったんだろう…)
俺は大きく溜め息をついた。
相手は甲子園のスターだ。頼れる先輩で、背も高くて、優しくて…
(それに比べて…)
俺は、チビで、生意気で…
アイツにも素直になれなくて意地悪してばかりだ。
(やっぱりかなわないのか…野球も…恋も)
あれから3日。今日はクリスマスイブだ。
姉貴は茂野先輩とデートらしく、朝からウキウキしていた。
「じゃ、行ってくる!」
そういって、満面の笑みでドアを開けた姉貴を見送った。
ガチャンとドアが音を立てて閉まる。
(俺はどうすっかな…)
そう思い、部屋に戻ろうとした。
が、再びガチャンと音が聞こえ、姉貴がひょっこり顔を出した。
「なに、姉貴、忘れもん?」
「んーん」
そういった瞬間、姉貴はニタァと笑った。
「アンタにお客さんだよ」
すると、顔をほんのり赤く染めたマネージャーが姉貴に続いて顔を出した。
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