お昼休みの後の国語の時間。
この時間が、私は好き。
周りの席の女の子達は寝ちゃってるし、先生もそんなに厳しくないから、私達が何をしてても怒らない。
それから──私は隣をチラリとみた──彼を見つめていても、誰も気付かないから。
授業中のひと時茶色の髪が風でなびく。
『なんで男の子なのにこんなにサラサラなの?』
と思わず妬いてしまう。
今は退屈な授業のせいで、半分閉じられている綺麗な蒼い目は、見つめられると吸い込まれそうになる。
そんな彼の目が不意に私のほうをみた。
…『私のほうをみた』!?
(え!?)
どんどん心拍数が上がっていく。
(な、なに!?)
「…、…ん
…鈴木さん!」
「は、はい!!」
慌てて声のしたほうに目を向けると、国語の先生が私をじっと見ていた。
「教科書を…」
「あ、はい…えっと…」
クラスメートの視線をうけ、真っ赤になりながら慌てて教科書をめくる。
『マネージャー』
(え…)
トントンと指でつついた先を見る。
″218ページ3行目から″
「…あ、『朝日を浴びて…』」
「し、清水くん!」
授業終了後、私は慌てて声をかける。
「さっきはありがとう…!」
『助かった!』と言うと、清水くんはニヤリと笑って囁いた。
『俺に見とれてないで、授業も聞いときなよ』
私は顔を赤くして、口をパクパクするだけだった。
END
← →