ギラギラと照りつける太陽の下、聖秀野球部は汗だくになりながら練習にはげんでいた。
夏の大会が近いということもあり、練習量は日に日に増え、みんなバテバテだった。
そんなある日…
「皆さん、差し入れですよ」
と、山田がポカリとサイダーを持ってきた。
それぞれ、自分の好きな方をとっていく。
そして大河もサイダーを、綾音はポカリをとった。
『いただきまーす』と、綾音がポカリを飲もうとしたとき。
『一口ちょーだい』と、横から声がしたかと思うと、ひょいとポカリが取り上げられてしまった。
『あ!』と綾音が言ったときには時すでに遅し。大河はゴクリとポカリを飲んでいた。その後、すぐに自分のサイダーを飲み干す。
「ちょっ、清水君!私まだ一口も飲んでないのに!」
「…サイダーとポカリって意外と合わないんだ」
「へぇ〜、そうなの?…って、そんなことどうでもいいの!私のポカリ!!」
「あぁ、…はい」
そういって綾音に渡すが、綾音はポカリを持ったまま顔を少し赤くし、固まって動かない。
それに気がついた大河はニヤリと笑った。
「…あれ?マネージャーどうしたの?飲まないの?」
「…」
綾音は困ったように大河を見る。
「だって!」
「だって?」
綾音は顔を真っ赤にしてうつむいた。大河はニヤニヤしながら綾音をみつめる。
「飲めばいいじゃん。俺そんなに飲んでないっしょ?」
「〜っ!」
大河がじーっと見ている中、綾音は緊張した面持ちでカンを口元に近づけ、一口コクリと飲んだ。が…
「…あ、間接キス」
「!!!」
突然発せられた大河の言葉に、思わず綾音はむせてしまった。
「何やってんの…。大丈夫?」
「だ、だだだって!///清水君が変なこと…」
「変なことじゃないじゃん。事実でしょ。」
大河の言葉に綾音は更に赤くなる。
「まさかほんとに飲むとはねぇ」
「か、からかったの!?知ってたの!?か、間接キスだって…!」
「当たり前っしょ。」
顔から火が出そうになりながら綾音は憤慨した。
「さ、サイテー!」
そんな2人を野球部は見守っていた。
「今日も熱いねぇ」
「熱いッスね」
END
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