「ねぇ」
「…」
「マネージャー」
「…」
呼んでも返事がない。
完璧に顔も背けられている。
こうなったのは俺のせいなんだけど、さすがに一時間もこれはキツい。
ただ、ちょっとからかってみたかっただけなのに。
「マネージャー」
「なあに、清水君?」
「なんでもない。」
この会話を朝から何度も繰り返した。
笑顔で振り向くコイツが、あまりにかわいくて。
初めのうちは、首をかしげながらも、笑顔で返事をしてくれてたんだけど。
だんだん、振り向かなくなり、ついにこれだ。
(やりすぎたか…)
ちょっと反省。
でも
こうなると、余計振り向かせたくなるもので。
「…帰んないの?」
部室で、書類の整理をしている彼女の正面に座って聞く。が、相変わらず目を合わせてくれない。
「マネージャー」
「…」
「おーい」
「…」
「綾音」
『バッ!』と顔があがり、目がばっちりあった。顔が真っ赤だ。
「な、なんで…き、急に呼び捨てしないでよ!」
「あ、やっと口きいてくれた。」
大河がニヤリと笑うと、綾音は一段と顔を赤くした。
「な…何でも清水君の思い通りになんていかないんだからね!」
「今思い通りになってたけど」
笑いをこらえながら聞いたつもりだったが、彼女にはわかったらしく、ますます怒らせてしまった。
「最低!清水君の顔なんてみたくない!あっちむいてて!」
(『先に帰れ』とは言わないんだ)
大河は苦笑しながら、むこうをむいた。
「…鈴木綾音サン」
「…なんですか、清水大河君」
「俺と、
付き合ってください。」
バサバサッと書類が落ちる音がした。
俺は振り向かなくても、マネージャーが真っ赤なのがわかって、笑った。それから、自分の顔が少し赤いことがばれないように、タオルを頭からかぶった。
作戦は成功したようだ
smile☆project
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笑顔☆計画
END
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