(16/75)page君と桜と蘇る記憶
「あたし、桜ってあんまり好きじゃないんだ。」
何を思ったのか、俺の隣で彼女はそうつぶやいた。
「…なんでだよ?」
『たいてい女なら、花とか好きなんじゃねぇのかよ?』
と聞くと、彼女は少しムッとした。
「だって、昔のこと思い出して、寂しくなるもん。」
…昔のこと?
「…ってなんだ?」
そういうと、彼女はひとつ、大きな溜め息を漏らした。
「…なんでもないよ!」
「はぁ?なんだよそれ?」
「本田には教えな〜い!」
そういって、彼女はいたずらっぽく笑った。
「俺は好きだけどな…桜。」
「…え、なんで?」
キョトンとする彼女にいたずらっぽく
『教えねぇよ!』
と返すと、再びぷぅっと頬を膨らませた。
桜は嫌い─
あなたが突然いなくなってしまった時のことを思いだすから。
桜が好き─
いつも優しく笑って支えてくれる君のことを思いだすから。
君と桜と蘇る記憶
END
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