海斗さんより 誕生日祝い
〜想い続けて〜
『これからもよろしく。』
『…うん!///』
「夢じゃ…夢じゃないんだよね…!」
この日から、ある少女の運命が変わった。
井上美咲、久良岐中学校に通うごく普通の少女…しかし、彼女は恋人になったばかりでもある。前日、恋を抱いていた一ノ瀬達哉に勇気の告白し、見事想いが通じたのだった。
「しみっちゃん〜♪」
「ミサ〜♪」
そんな美咲はすでに幼馴染で親友の清水薫とともに、聖秀学院への進学を決めており、受験に解放されたこの時間を満喫していた。
「いいなぁ…ミサといっくん結ばれて。」
「そんなぁ〜しみっちゃんがアドバイスしてくれたおかげだよ♪エへへ〜♪」
「(ミサすっごく嬉しそう…)」
そんな美咲は薫にとって羨ましそうに接していた。自分もこんな風になりたい、想いが通じてほしい、少なくても本田に…
「あのさぁミサ…。」
「何しみっちゃん?」
「実はさ、中学卒業前に一度でいいから本田に…。」
「え?」
「あ、あいつと何か思い出でも作ろうかなぁと思ってさ!本田も海堂に行っちゃうから…。」
「そうだね、何かをして思い出を残せばお互い高校でも頑張れるし!」
「うん…でもさぁ…。」
「どうしたの?」
薫は苦笑いを浮かべながら美咲を見つめた。
「私、こないだ本田にきつく言っちゃったんだよね。”何もわかってないくせに余計なこと言わないで!”って…。」
「気まずいってこと?」
「うん…。」
事情を知った美咲は…ニコッと笑った。
「なら、私が手伝ってあげる!仲直りの方法♪」
「えっ、ミサが?」
「しみっちゃんには恩返ししないと♪」
「ありがと…ミサ♪」
こうして、美咲の仲直り大作戦が始まった。
「まずは〜しみっちゃんから声をかける!」
「私から?」
「気まずい雰囲気を作っちゃったしみっちゃんから声をかけたら、本田くんもほっとすると思うから!」
「よ、よし…!」
数日後、吾郎を呼び出した薫は美咲とともに先に公園に来ていた。
「よ、よう本田…!」
「清水、珍しいなお前が遅れてくるなんて。」
「いやぁ〜アハハハ。」
チラッ
「(つ、次は〜?)」
「(えっと…”笑顔で!”)」
陰から美咲が口パクで伝える中、薫がそれを見て…
「はぁ〜いい天気だね〜本田くん!」
「…は?」
「ほら、見てみてよ!青空があんなに広がって!」
「…お前、どっか具合悪いのか?」
「へ?」
「んなことで俺を呼び出したのかよ?」
「え、あ、いや…(ミサ〜どうしたらいいの〜!?)」
「(えっと…と、とりあえず何か話して!野球とか学校のこととか…!)」
「(わかった…!)ほ、本田はさぁ〜ほんとに野球好きだよね!私はソフトが好き!野球もソフトもいいスポーツだもんね!」
「………。」
「あれ?」
「お前、熱でもあんのか?」
「な、ないって〜アハハハ〜(ミサ〜ヘルプ〜!)」
薫はもう限界だと感じたのか首を横に振っている。
「うーん…(じゃあ、思い切って本題入って!)」
「(ほ、本題!?)」
「(本田くんに想いを!)」
「〜〜〜〜〜〜!?」
「清水?さっきから何で後ろばっか…。」
「あ、いやさ!ここから本題に入るけど…。」
薫はついに語る決意をし、じっと吾郎を見つめた。
「…ご、ごめん。この間は大声出しちゃって。」
「?」
「あの時、ちょっと気が動転してたんだ。海堂にしようか、聖秀にしようか…でも、本田の助言のおかげで…ありがと…♪」
「………。」
この薫の言葉を聞いた吾郎は…。
「別に大したことじゃねーし。んじゃ、俺はこの辺で。」
「え?」
「ランニングの最中なんだよ、今日だって忙しい中…。」
「わぁ〜〜〜〜待ってよぉ!」
「(ま、まずい〜本田くんが帰っちゃう…あ、そうだ!)」
ピッ!
「お願い出て…出て!」
プルルルル……
『はい。』
「あ、達哉くん!?」
「じゃーな、清水。」
そんな中、吾郎が薫に手を振りランニングを開始しようとしたとき…
「本田!待ってってば!」
「「?」」
薫は大声で吾郎を呼び止めた。
「あぁ?」
――――――ギュッ…
「し、清水!?」
「しみっちゃん…!」
薫はいつの間にか、吾郎にしがみついていた。
「お願い…いかないで…。」
「………。」
「やっぱり、私の前からいなくならないで!!」
薫はついに抱いていた想いを口にし、それを聞いた吾郎は驚きを隠せないでいた。
「もう…遠くへ行かないでよぉ…。」
「遠くじゃないけど。」
「「!?」」
「…あ、来たぁ♪」
薫と吾郎は目を見開かせ、美咲が喜んで見つめた先…
「達哉…!」
「いっくん…!?」
「ラブラブじゃん、二人とも。」
「「〜〜〜〜〜〜〜〜///」」
一気に顔を赤くした吾郎と薫を達哉がクールにからかう。
「何言ってんだ達哉!てめぇからかってるのか!?」
「別に?」
「で、でもなんでいっくんがここに…!?」
「………。」
薫が達哉に尋ねると、達哉はこう答えた。
「The feelings for a long time keeping thinking。」
「?」
「〜〜〜〜!!」
「これでいいんでしょ?」
「「え!?」」
達哉がそう叫ぶと……
「OK〜さっすが達哉くん♪」
「ミサ!?」
「いっ!?」
突然美咲が現れ、吾郎は驚き、薫は目を丸くした。
「達哉くんに頼んだんだ♪さっきの台詞を英語で言ってって♪」
「も〜ミサ〜〜!!///」
「なぁ、さっきなんて言ったんだ達哉?」
「…秘密。」
「ひ、秘密ってなんだよ!?」
「何なら訳せばいいじゃん。」
「それができねぇから聞いてるんだろ!!」
結局、今すぐに薫と吾郎は恋人とはならなかった。しかし、この出来事からわずか数年後に…二人も結ばれることになるとは本人たちが思ってもいなかった。だが達哉と美咲は違う…
”The feelings for a long time keeping thinking.(想い続けて、その気持ち)”
幼馴染として、そう信じていたのだから…
end♪
海斗さんから、栞の誕生日祝いでいただきました(≧∇≦)
いつも素敵な小説、ありがとうございます!
→