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3月25日


千代誕生日記念 らーぜ×千代


「一年ってあっという間だよな」

練習が終わった後、いつものコンビニへ向かいながら呟いた阿部に、その他部員はぶはっと吹き出した。

「阿部年寄りみてー」

「うっせーな!だってあと一週間で4月だぜ?」

「確かにねー。そーいえば、巣山と花井4月生まれだっけ」

栄口に言われて、巣山と花井は『おー』と返事した。
とたんに『ケーキ!ケーキ!』と騒ぎ出す田島、水谷、三橋。

「で、そん次が5月の三橋でー…?」

突然自分の名が出た三橋は、ビクッとして固まった。

「6月栄口、7月が沖。田島が10月で泉は11月、それから確か阿部が12月で、水谷が1月、最後が俺、2月かな」

「西広すげ〜!」

「さすがだな…」

尊敬の眼差しを向けられ、西広は照れながら笑った。

「いや、だって毎回盛大にお祝いしたじゃん。三橋の誕生日会やってから」

「そういやーそーだったな」

「つっても、知るのはいつも当日だけどな、本人から聞かないかぎり」

「そーそー。いっつもしのーかが言う『おめでとう』で発覚すんだよね」

「うんうん、篠岡が…」

そこまで来て突然全員が黙った。
しかし、みんな考えていることは同じだった。

(((そういえば…)))

「しのーかのたんじょーびっていつだ?」

いつもながら空気が読めていない田島がみんなの疑問を代弁した。

「栄口、阿部!お前ら同中だろ!」

「うーん…そうだけど…」

「いや、俺中学一緒だったこと知らなかったし」

「んじゃ、花井は!?同じクラスだしキャプテンだろ!?」

「いや、関係ねーし!」

「うわ…花井…」

「ひでえ…」

「そういう意味じゃねぇ!!」

ぎゃあぎゃあと騒ぎ出した野球部の仲間に、必死に話しかけようとする三橋。
しかしなかなか気づいてもらえずにいた。そんな彼の様子に最初に気づいたのは泉だった。

「…どうした、三橋?」

「…ぅお!あ、あ、の…あ、あした…」

「……明日?」

ブンブンと三橋は縦に首を振る。
少し考えてから泉はハッとした。

「しのーかの誕生日か!?」

「…っ!そ、うっ!」

話が通じて、三橋は嬉しそうに肯定した。三橋に代わって泉がみんなに伝える。

「おーい、しのーかの誕生日明日らしいぞ」

「…え、マジ!?…つーかよく知ってたな泉。」

「いや、俺じゃなくて、三橋が」

「へー!三橋が!」

みんなから褒められ、三橋はまたオドオドしながら呟いた。

「この前…カントク、と…篠岡、さんが…話して、た、よ!」

「そっかぁー!」

ニカッと笑った田島が、三橋の背中をバシッと叩いた。とたんにむせる三橋。


そんな彼を残したまま、西浦野球部員は、マネージャー、篠岡千代への贈り物について話し合い始めた。






次の日。