(12/75)page二人の日常
「…あ、」
昼休み、山田に呼び出された帰り、大河は前方に見知った姿を見つけた。
(また1人で…)
「マネージャー」
「え、あ、清水君…」
「…何ソレ」
「これ?先生に頼まれたプリントとか」
笑顔でそういう綾音は細く白い腕で、たくさんのプリントやノートをもっていた。
「マネージャー、今日日直だったっけ?」
それを聞いた綾音は一瞬キョトンとして
「…うん、そうだよ」
と答えた。
「清水君は…山田先生に呼び出されてたの?」
「うん」
そう答えると同時に、大河は綾音の手からプリントを3分の2ほど取り上げた。
「…ありがと」
「いいよ、別に」
顔を照れて背ける大河に、綾音は微笑んだ。
「でもさ、」
「え?」
「日直って二人のはずじゃん?誰だよ、もう一人?アンタ一人に任せるなんて、冷てー奴だな」
その大河の言葉に、綾音はクスクス笑った。
「なっ、なんだよ」
「ふふ、いいの。その冷たい誰かさんは、野球部の事で頭がいっぱいで、日直なんて忘れていたみたいだから」
「・・・あ」
END
← →