海斗さんが、私が描いた吾薫フリーイラストに小説をつけてくださいました!
よければそちらのイラストもご覧ください。
「本田〜はやくこいよ〜!」
「へーへー……。」
花火大会……夏の夜空に彩る宝石のような輝きは人々の心を和ませる…。
それは…俺も……
清水も……
小森や沢村たちも同じ……
「花火大会?」
一昨日の清水の電話……あいつの声は野球をやっている時より嬉しそうだった。
『どうせ夏休みも野球一筋だろ?小森や沢村たち誘ってさ♪お前のちょっとした息抜きもかねて、あたしが付き合ってあげる!』
「おいおい、誰も頼んだ覚えがないんだけど?」
『いいのいいの!じゃあ明後日、予定明けとくんだぞ!』
―――ガチャッ
…一方的に、半ば強引に事を進められたのだった。
そして今日―――
「よぉ本田!」
「本田くん!」
俺と同じTシャツ姿に纏った小森と沢村。そして……
「よっ、本田♪」
「………。」
水色の浴衣…いつもと違う雰囲気を漂わせ、それに頭に”何か”をつけている清水の姿だった。
「お前、頭に何かついてるぞ?」
「バ……バカ!これはオシャレ!花の髪飾りなの!///」
頬を赤くしてムッと拗ねる清水…今初めて…清水が…
「な…なんだよ?じっと見て…まさか見とれた?//」
「はぁ〜?な…なにいってるんだよ!誰がお前なんかに…!!///」
「本田くん〜顔赤いよ?」
「さ、沢村テメェ!」
「もう正直じゃないんだから♪照れなくてもいいじゃん本田〜。///」
「あぁもう!いいかげんにしろよ!!」
つい声を上げて怒鳴りつけてしまう…。周りはちらほらこっちを見ている…。
「……。」
「……ゴ、ゴメン…//」
何故か清水が謝る……怒鳴ったのは俺なのに…。
「ねぇ、はやくいこーよ?場所なくなっちゃうからさ。」
「あぁ……そうだな。」
小森が場の空気を読み、足早に移動を始める……
「ほら、いくぞ清水。」
「う……うん。」
まだ気まずい雰囲気のなか、俺たちも小森たちに続いた。
「あ、ここ開いているよ!」
小森が叫ぶとおり、4人が座れるスペースが見つかった。
「………。」
「………///」
未だにさっきのことで互いに言葉を交わせない雰囲気が漂う…。
「……なぁ小森!なんか食い物でも買いにいかねぇか?」
「えっ?」
「ほらほら行くぞ〜!」
「ちょっと沢村くん〜!」
…………ったく、沢村め…覚えてろよ…!
「なぁ……本田……?」
「ん…?」
気まずい雰囲気の中、口を割ったのは清水のほうからだった。
「……まだ、怒ってるの?」
「………。」
視線を合わせず、もごもごとして俯く清水……
「前にも言っただろ…俺1分前のことすぐ忘れるってな。」
「…じゃあ…もう怒ってないのか…?」
「……あぁ。」
「そう……よかった…///」
頬を赤くしてニコッと微笑む清水…
――――ドキッ…!
…なんだ…今のは…!胸が…一瞬すっげー痛くなった……
「なぁ……清水……?」
「何……?」
「………。」
またここで沈黙が俺たちの間で流れる……。
「さっきは……ごめん……。」
「えっ……?」
「………怒鳴って悪かった。」
「本田………///」
「……。」
何やってるんだ俺は…謝ったぐらいでなんで清水と顔を合わせられないんだよ…
「……バ〜カ♪///」
「えっ……?」
予想外の清水の発言に思わず顔を上げる…すると…そこにはあいつの”いつもの”笑顔があった。
「あたし、本田が思っているほど落ち込んでないよ♪」
「………。」
「もう〜いつまでそんなしけた顔してるんだよ?そんなんじゃ花火もつまんなく見えるぞ?」
「あ、あぁ………。」
――――ヒュ〜!!
――――バーン!!
ここで俺たちの会話をまるで聞いていたかのように…真っ暗となった夜空に無数の花火…目に染みるような明るさに耳の鼓膜を揺らす大きな花火音…
――――バーン!
満開の”花”はやがて”星”のようにキラキラと輝いて舞い散る…こんなのどこが綺麗なんだ…俺は今までそう思っていた…。
「……?」
「綺麗……///」
「………//」
”こいつの…この横顔を見るまでは…”
「ねぇ本田、すっごく綺麗だね花火♪」
「…え…あ…うん…。」
”どっちかというと…俺は…お前の…その…横顔が…”
「おぉ〜ここだったかぁ!」
「おう、遅かったじゃん沢村?」
……クソッ…沢村空気読めよ…!
――――ドンッ
誰かが沢村とぶつかってバランスを崩す………
「おわっ!?」
「えっ!?」
「あ、あぶない!」
バランスを崩した沢村が背中越しの清水にぶつかりそうになる…とっさに俺は手を伸ばした…。
――――ザッ
――――バシッ!
「いって〜!」
「あ、ゴメン沢村くん!前見てなくて…。」
「こ、小森……ってお前ら!?」
「…ほ、本田くん…清水さん…?」
二人が気まずい声を出す……
「………///」
「…………///」
……今、俺の胸の中には…清水の小さな頭を両手で抱える格好になっていた…。清水の髪からシャンプーみたいな甘い香りが鼻をくすぐる…
「だ……大丈夫か?///」
「う…うん…ありがと。///」
ゆっくり体を起こす清水を両手で支える…お互い恥ずかしすぎて目を合わせられない……
「おいおいお前ら、いい雰囲気じゃねぇか〜?」
「な……!?」
「よ、よしなよ沢村くん…!」
「ヒューヒュー♪」
「テ、テメェ沢村〜!」
「あ、おい本田ぁ〜!」
――――バーン……!
からかう沢村に俺はムカついて襲いかかる……でも本気でムカついた…とは言えない…。
何故なら…こんな和む”夏の日”を…後に俺にとって大切な存在となる…”こいつ”と過ごせたのだから…
end♪
リトル時代大好きな私にとって、海斗さんからのこの小説はかなり嬉しかったです。
そしてイラストをもとにこんな素敵なものを頂けて…幸せです!
ありがとうございました!
← →