〜幸せのキス〜
結婚式当日……この日を…ずっと夢見ていた……一人の少女…というより立派な女性……。
「やば……/////」
鏡の前に座り…映った自分の顔を見て赤くする…清水、いや……今日から「茂野 薫」となる彼女…。係の人に念入りにセッティングされ、だんだんと…『女性』から『花嫁』となっていく……。
「(ドキドキ……する…///)」
「大丈夫ですか?そんなに緊張しなくていいですよ。」
「あ、すみません……///」
さらに顔を赤くして俯く薫を係の人は優しく微笑む…。
「はい、それじゃあドレスの着付けですね。」
「は……はい…。////」
鏡の前で、コルセット巻いて真っ白なドレスに腕を通し、絹の白手袋にネックレス、それと長い純白のヴェール……一つ一つ、丁寧に身に付けられると薫の表情もだんだんと落ち着きを取り戻していった。
「(あ……あたしじゃ…ないみたい…///)」
「とっても綺麗ですよ。」
「あ、ありがとうございます…!///」
Aラインの純白のウェディングドレスに、キラキラと輝くティアラ、そして手には白い百合の花を束ねたブーケ………立派な花嫁となった薫。
「綺麗よ…薫。」
「おかーさん……///」
薫の母も心から、娘の花嫁姿に見とれていた。
―――コンコン!
「は、はい…!」
「あ……俺だけど……いいか?」
「う、うん…ちょうど終わったから…///」
薫がそう返事する。それを聞いて部屋に入ってきたのは……
「……………。」
ロングタキシードに身を付けた…薫の新郎になる吾郎は、花嫁姿となった薫を見て言葉を失う…。
「ど……どうかな…?///」
恥ずかしそうな表情と声を上げる薫…。
「………すっげー綺麗だぜ…?」
「(照)〜〜///」
吾郎の優しい問いかけに一気に顔を赤くする薫。
「ほ……ほんと…?///」
「あぁ、こんな綺麗なお前が見れて……俺って幸せ者だぜ…///」
鼻の下に手をやり照れくさそうに笑みを浮かべる吾郎。
「……ありがと……すごく嬉しい…///」
薫は…目を潤ませて吾郎を見つめる。
「お、おい……今泣いてどうするんだよ!?///」
「な…泣いてないって〜!///」
昔からこういう仲だった二人にとって…今日という日はどこか新鮮にも感じられる…。
「新郎新婦の方は入場準備をお願いします。」
係の人に案内され、二人は幸せの舞台へ…
「いよいよだね………///」
「緊張するか…?//」
「…ちょっとだけ…する…///」
「……実は、俺も…。」
吾郎の言葉に薫は目を見開いてじっと見つめる。
「…本…いや……吾郎でも、緊張するんだね…?///」
「なっ…それどういう意味だよ……か……薫…///」
慣れない名前での呼び合い…互いにまた顔を赤くするのだった。
「じゃ……待ってるからな。///」
「うん、頑張ろうね。///」
「♪〜〜〜♪」
オルガンの軽やかな音色と共に出席者が、そして新郎、茂野吾郎が…後方の扉に視線を向ける。純白のウェディングドレスに包まれた薫にゆっくりと歩幅を合わせて入場してくる薫の父…
そんな光景を祭壇の前で待つ吾郎は優しく見守る中…あっという間に自分の目の前にやってくる…。
そっと薫の父から手を自分の腕へと貰い受ける……。
こうして結婚式は進み…いよいよ…牧師がゆっくりと告げる。
「新郎、茂野吾郎さん, あなたはこの女性と結婚し、夫婦となろうとしております。 あなたは、健康なときも、そうでないときも、この人を愛し、この人を敬い、この人を慰め、この人を助け、その命の限りかたく節操を守ることを誓いますか?」
「……誓います。」
「新婦、清水薫さん, あなたはこの男性と結婚し、夫婦となろうとしております。 あなたは、健康なときも、そうでないときも、この人を愛し、この人を敬い、この人を慰め、この人を助け、その命の限りかたく節操を守ることを誓いますか?」
「…はい、誓います。」
お互いのはっきりと…迷いのない答えに牧師も笑みが出る。
「宜しい…では誓いのキスを。」
その言葉に会場全体が息を呑む。そして、吾郎が薫のヴェールを上げ、顔を赤くする薫をじっと見つめる……。
「さっきより……ますます綺麗だぜ?///」
「…ありがと……///」
さらに顔を赤くし俯く薫。そんな薫は…ゆっくりと顔を上げて…目を閉じる…。
対して吾郎も……ゆっくりと…自分の顔を近づける……。
――――カランカランカラン……
教会の鐘が二人を「夫婦」として認めるように…そして、永遠にこの二人が幸せになれることを願うかのように音色を奏でる……その音色に包まれるように……
二人は一生で一番”幸せなキス”を交わしたのだった…………
海斗さんのところからいただいてきました!
配布期間は過ぎているにも関わらず、海斗さんは心よくOKをくださいました。
ありがとうございます!
甘い雰囲気の二人が、とても心を和ませてくれますね。
ありがとうございました!
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