「かぁーのぉーおーっ!」
「………」
ある晴れた休日。三星学園野球部はそれぞれ練習に打ち込んでいた。
そんな時、響いた高い声。
野球部の面々は一人の少年に視線を集中させた。
しかしその少年はボール拾いをしたまま顔をあげない。
「かのーってばー!」
痺れを切らしたチームメートが少年に声をかける。
「…なぁ、叶?瑠璃ちゃん呼んでんで?」
「………知ってる」
『はぁ?なら、なんで』と聞こうとしたとき。
「…何無視してんのよぉーっ!!」
フェンス越しに彼女…瑠璃の怒りが爆発。
野球部はみんな飛び上がった。
(練習なんて知ったこっちゃない)
そんな勢いで、瑠璃は外野にいる叶の方にダッシュでかけて行き、持っていた紙袋を彼の後頭部にたたき付けた。
「いってェーっ!なにすんだよ!」
「それはこっちの台詞よ!お弁当届けに来てあげたのに、なんで無視されなきゃいけないのよ!
………そうよ、なんで無視すんの!?」
「…う゛っ…そ、それは…」
その時、叶の視線と一人の野球部員の視線がぶつかる。
叶にキッと睨まれ、その部員はドキリとして、さっきまで瑠璃と楽しく話していたことを思い出した。
恐らくそれが、叶は気にくわなかったのだろう。
(なんや、そういうことかいな)
一部始終を見ていた織田は苦笑した。
「なんでよー!?」
「…あーもう!うるせーな!」
(…そらいわれへんよなァ)
「なっ!!うるさいとか叶にだけは言われたくない!」
「んだとー!?」
───ヤキモチ妬いた、なんてな
キミは、ボクの、修ちゃんは絶対独占欲強いとおもう!(笑)
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