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最低。わかってても、やめることなんてできない。


「、は…ッ」
「…っ、――、ん…っ、」


声、我慢しなくていいよ


「……、ごめん……ッ!」


そう言う余裕さえ、今の俺にはないんだから。



―2.遭難


覆いかぶさったまま、沈黙。赤みを増した瞳が、呆れたように緩むのをただ見ていた。


「…どいて。あーもう、制服埃だらけ」
「…………」


なん、で、?


落ち着いてきた頭に浮かぶ疑問。促されるまま向かいに座り直す俺の前、平然とボタンをしめる彼女。


なんでそんな、普通なの?


そう思って見つめた顔が


「………高く、つくからね」


見たことないくらい、やわらかく、緩んだ。





張り詰めた糸が、切れたみたいに。


「、え、……………は?」
「同情した。抱かれた。慰めた。これからだってそうする」


ただ、声だけははっきりと。怒りも悲しみもなく、何かを決めたような意志をのせて。


「何、言っ」
「だから。わたしを言い訳にしていいから、部活に出て」

「………ぶかつ、」


わかんない。何を考えてるか。でも、これはわかる。


ああ、


「……芥川は、何もなくしてなんかない」

「―――――――、」


このひとは、つよい。


そしておれは、よわいんだ。



夕日が落ちていた。窓の外の喧噪も止んでいた。感じる今日の終わり、明日の訪れ。


「わかった?ていうか、もうお代払ったんだから拒否権ないけど」

「……はは、こえーっ」


なんとか、なるかな、明日


立ち上がって、鞄をとった。


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