好きの種類 最近、俺はおかしいと思う。 そりゃあ自分で言ってるくらいだ。他の皆からすればもっとおかしいのだろうということも、当然わかってる。 「にいさん」 「っ!!」 声を受け、バッと一目散に駆け出し距離をおけば、またですか、といわんばかりに怪訝そうな顔を浮かべるヒューバートの姿。 そう。 俺はつい数日前から、ヒューバートを避けている。 近くにいると動悸がするし、体も心なしか熱くなってきて、ヒューバートから目が離せなくなる。 原因不明の体調の変化を恐れ、どうしても弟と一線を引かずにはいられなかった。 「ごめん、ヒューバート。どうした?」 突然飛びのいてしまったことに謝罪を一つ入れ、用件を聞く。 最近はいつもこれの繰り返しだ。 「いえ、べつに構いませんが。 今後の戦闘の陣形の編成について少し話が有りまして」 「あ、ああ。そうだな。最近おまえに無理させてたし、そろそろ待機に…」 「それなんですが、にいさんが最近心ここに在らずと言った感じで戦闘中に呆けているのも原因の一つなんですよ」 言いかけて、ピシャリと両断される。 確かに最近は戦闘中もヒューバートを見てしまって、ぼうっとしているところをみんなにフォローされる機会も多かった。 それによってヒューバートの負担が大きくなっていることは、自分でもわかっている。 先陣を切って敵に向かうヒューバートの姿は、昔のそれとは比べようもないほどに勇敢で。 ヒューバートから滴り落ちる汗や、苦痛に歪む表情、暖かな回復輝術のすべてを、一瞬も逃さずに見ていたかった。 そして、戦闘中には見られない表情も見てみたい…。 そう思った瞬間、込み上げてくる感情に素直に俺の体が動いた。 「……っん、ぅ!?」 ようやく気がついたんだ。おれがおかしかった理由に。原因不明の症状の原因に。 そしてそれに気がついたと同時に、ヒューバートの唇を塞いでいた。 「ふ、ぁ……っ、に、にいさ…っ!何を!」 どん、と俺を押しのけたヒューバートは、顔を真っ赤に紅潮させながら問い掛ける。 そんな表情も愛しくて、俺の胸はどくんと高鳴った。 「ヒューバート」 「な、なん…ですか」 真剣な眼差しを向ければ、少し後ずさって警戒をするような態度。 ああ、やっぱり。 俺はお前のことが、弟としてじゃなく、仲間としてじゃなく… 「すきだ」 「……っ!?」 言葉にすると愛しさはどんどんと膨らんで。 コロコロと豊かに変化するヒューバートの表情に、更に込み上げる感情。 「何言って…にいさ、正気ですか!?」 「ああ。すきだ。ヒューバート、おまえがすき。 弟としてじゃなくて、恋愛対象として」 「っ!ば、ばかを言わないでくださ……っん」 ヒューバートの抗議も聞かず、もう一度唇を塞ぐ。ちら、と表情を盗み見れば、キッと睨みつけてきた。 ああ、かわいい。 ヒューバート、これがいけない事だってわかってる。 だけど、もう止められないんだ。 いつか、お前が俺しかいらなくなるように、大事に、大事に愛をあげよう。 ああ、俺はどうかしているみたいだ。 ヒューバート、お前も俺とおかしくなってくれるだろうか。 (にい、さん) (ん?なんだ、ヒューバート) (ぼく、ぼくもにいさんの事が……) (11.06.29) 修正をいれて前サイトから引っ張ってきました。 それでもgdgdですね/(^o^)\ - texttop - |