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トレーネの竜
はじめ、世界にはただ無が広がっていた。そこで神は大地を作り上げ、力を持つ者と知恵を持つ者を生んだ。前者は硬い鱗と鋭い爪をもった『ドラゴン』となり、後者は文明を育んでいくことのできる『ヒト』となった。
次に、神はその身を六つに分かち、竜を統べる六柱の『始祖竜』へと姿を変え世界の均衡を保った。
全てを創造する者の力を宿した六柱の竜王たち。
海底に横たわる水の始祖ヨルムンガンドは人々に恵みの雨をもたらし、火の始祖サラマンドラは大地に熱を与えた。最北の洞穴に棲む風の始祖ファフニールが起こした風は世界中を巡り、地の始祖ズメイが触れた土は肥え更なる生命を生んだ。光の始祖ティアマットは命を照らす白き輝きを生み、闇の始祖ニーズヘッグは夜の闇と等しき死を全てに与えた。
この世界はそうして生き続けていく。
大陸の南端。霧に包まれたその場所には光と闇の始祖が身を置く、ヒトの国『ミスト』がある。
そこでは立て続けにヒトと竜による争いが起こっていた。始祖によって統制された竜たちはヒトを襲わない。姿の異なる二種は古代からそうして共存してきた筈だった。
竜の声を聞く少年ネグロは、異変を訴える竜たちの声を手掛かりにミストへと辿り着く。そこで彼を待っていたのは光の始祖ティアマットとの邂逅だった。かの始祖はネグロに、竜を視る力『トレーネ』を与え、突如姿を消した闇の始祖ニーズヘッグを捜し出すように言付けた。ネグロはティアマットが保護していた人間の少女ルスとともに、消えた闇の始祖を捜すべく旅を始める。