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創作関連: magicaトレーネの竜灰の塔その他創作

その他創作



トルワの若い学者が言っていた。この世界に神様がいるとしたら、それはきっと世界に興味がない円環を管理する者なんだろう、って。
前世の記憶を持った人は感慨深げに、今度も終わりの者は世界を喰らうのかと呟いていた。どうやらいつも世界は終焉を迎えるらしい。奴によって、いつも、いつも。

神様はいつも助けてはくれない。


今日も夢を見た。
俺でいて俺じゃない誰かが戦士を従えて砕けた荒野で戦争をする。沸いてくる魔物の軍勢を切り捨てて倒して、ようやっと敵が見えなくなったところで戦士たちと勝利に歓喜の声を上げる。
夢の中の俺は廃れた世界の中でも今みたいに生きることを諦めていなくて、強い。そこに姉ちゃんは何故かいなくて、俺は知らない誰かと親しそうに話して笑っていた。

そういえばあの学者の言っていた前世の記憶、これがそうなのかな。


魔物というのは人や亜人と違って円環の狭間から生まれるらしい。円環を巡る魂たちのなり損ないや余りが集まったいろんな魂の破片が世界に降りてきて形を成すと魔物が生まれるんだとか。
テイマーや召喚士たちが心を通わせる魔物たちは、他の魔物と違って円環から外れてしまった魂が魔物になったトクベツな奴らなんだって。
寄せ集められた魂からできた魔物とは召喚士やテイマーたちも意思を交わすことが難しいから、らしい。

俺がよく使う魔術っていうものは、呪文を介して自分の魂を世界に干渉させることであらゆる自然現象を自在に起こすことができる。呪文を正しく解読して吟味して自分に合うように再構成する必要があるから、失礼だけど姉ちゃんみたいに頭の回転がよくないひとは魔術を使うのが苦手なんだってね。


魂はとにかくこの世界に確かにある。そうして全ての出来事において魂は深く関係があって、いつの世界も運命は残酷だ。








世界の流れに利用されていたのはよくわかったよ。
ねえわかるかな?俺たちは、二人は、円環がつくり出した最高傑作だってこと。ただの器さ、奴を倒して封じ込めてそうして魂を抱えたまま死んでいく器。
姉ちゃん、今度はどうしよう?また俺が食われるのも悪くない。どうせいつも世界は滅ぶんだから。それともあいつを殺して俺たちが終わりの者になろうか。何をしたって円環は巡り続ける。変わらない、何度だってやり直せるから


「アベル、絶対に帰ろう。また二人で旅しよう」
「姉ちゃん…」
「…ね?」
「……うん。今度こそ、…今度こそ」




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