四木臨



黒いソファーが赤い血で濡れ異臭を放っていた、だがそこに何不自然なく腰を下ろす白いスーツを纏った男は純白であったであろうスーツを血で汚している、というよりは汚されていたに近いのか、スーツを纏った男の膝の上に座るのは男より多少小柄と言うに近い青年が手にべったりと鮮血を付けていれば男の頬へ塗るように指を這わせた
青年は男をただ愛おしげに眺めては血で濡れた掌でただ頬を撫でているが、男は全く気にしないように視線も向けることはなく口に煙草を咥え煙を吐き出していた

「四木さん、愛してます。俺、四木さんの為なら何でもします。四木さん、俺は貴方の物です、何でも言ってください」

青年は服従を誓うようにリングの嵌められた指を掬い取り口付けを落としては男へ視線を向け不適な笑みを浮かべさせた
愛してます、と男にでも何を言っているかわかるように青年が口元を動かすと漸く男は青年の方へ顔を向けた
青年は歓喜を表現するような笑みを浮かばせ男の言葉を今か今かと待っていたが男は青年を一度見つめては呆れたような溜息を零すと手にしていた短くなった煙草の火を青年の血で濡れた手の甲へ潰すようにして消すと青年は痛みを堪える歯を噛み締めた

「なら、死ね」

青年が歯を噛み締めていた刹那男の口から発せられた言葉に青年は目を見開いた
だが直ぐにその言葉を待っていたとばかりの笑みを浮かべれば青年は男の頬を一度撫でると膝から立ち上がり温かみのある笑みを浮かばせた

「じゃあ、来世では俺の事、愛してくださいね」

そうやって笑った青年

来世で会った二人の末路は






2010.06.24

気が向いたら来世verを書きたいな、とか


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