臨蘭 死ネタ



色素の抜けた髪を緩慢と撫でればこびり付いた赤黒い血痕が指先に触れ病的な白さを持つ指を濡らした。男は他人の血で濡れた指先を苺の様に熟した赤い舌で舐めとると不適な笑みを浮かべた
横たわる男は死んだ訳ではなかった、まだ僅かながらであったが規則正しく呼吸はしている状態である。臨也という名の男は蘭というまるで女性の名の様な男の髪をただ愛おしげ梳くようにして撫でていた

「蘭君は、寝顔まで可愛いんだね」

横たわる男には一生縁の無さそうな言葉を臨也は呟いた。閉ざした瞳の睫毛は顔とは似合わず多少長めであり小さく小刻み震えている。臨也は蘭の震える睫毛へ触れるように目蓋へ口付けを落とすと、額から血を流す蘭はゆっくり双眸を薄く開いた
蘭の薄らと開けた視界で笑みを浮かべる臨也は未だ蘭の指通りの悪い髪を撫でていた。蘭はそれに気付いたのか顔を蒼白させ痛む体を無理矢理動かしては臨也を振り払うように体を動かした

「蘭君、らんぼーう」
「うぜえ…!」

体を動かす事により体に激痛が走るのは予想済みであった筈の蘭であったがやはり考えと実際起きるのは違うものであった。痛みに僅か顔を歪ませる蘭は傷だらけの体を必死に動かし立ち上がろうとした刹那

「――……ッ!」
「おっ…と、蘭君危ないなあ、あんまり動いてると本当に死んじゃうよ?…嗚呼、でももう死ぬなら関係ないか、そうだよね?」

体は正直なのか痛みに耐え切れず転びそうになった体を臨也が支えると蘭は屈辱の表情を浮かべていた。だが臨也の口から告げられた言葉は不可解なものであり、まるで今からまだ生きている蘭が死ぬと言っているように感じられた
そして臨也の手に握られるのは愛用のナイフ、ゆっくり刃先は首へと近づけられていく

「う、あ、ぁあ、ああぁああ―――………、」
「永遠の眠りこそ、君の生み出した愛だよ」
をしていた




2010.06.23

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