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▽ 人間暖房機


「べっっきしっ!」
「え、今のくしゃみ?」

今日は今年度でもっとも冷え込む日

テレビの向こう側の天気予報士のお姉さんが笑顔で告げた

「寒い。臨也暖房入れて」
「嫌だよ。俺寒くないし。節電節電」
「ケチ」
「なんとでも」
「…ぷぅっ」
「可愛くない」

上目遣いで頬をふくらましてみたなまえだが臨也は動じない

そんな中なまえはぽつりと呟いた

「あーあ、静雄くんなら、優しいからすぐ暖房入れてくれるんだろうなあ」
「…ちょっと、なんでここでシズちゃんの名前出てくるの」
「あーあ、臨也かっこわるいー」
「…分かった分かったから」

やった!となまえは暖房の前を陣取るのだが



「…なにしてんの臨也」
「なにって寒いんでしょ?ほらおいで」

両手を広げなまえを誘う。なまえから笑顔が消えて代わりに冷たい視線を臨也に浴びせる


「なに…もしかして、俺が温めてあげる的な?」
「うん。さあおいで!」
「うおぇっぶぇえっ」
「ちょ、ひど、え?マジ引き?えーいいと思ったのに」

臨也がわざとらしく悲しそうに振る舞う。

なまえはそんな臨也を無視して勝手に暖房のスイッチを入れた

「最初から入れればよかったじゃないか」
「一応家主に了承を得ようと」
「得てないけどね」

そう言いながら臨也は後ろからなまえを抱きしめた

その臨也の行動になまえの顔は綻んだ

「…そっちこそ、最初っから抱きつきたいって言えば良かったじゃん」
「一応了承を得ようとね」
「ぱくんな」
「はははっ」
「…ったく…」

臨也の胸に顔をうずめる

また、臨也も顔を綻ばせた

「たまには良いかもね…なまえ」
「あ、なんか暑くなってきたから離れて」
「…」
「うそうそ」
「全く…なら、もっとあったかくなれる方法あるよ」
「…っ!」

なまえに顔を近付けて唇を少し突き出す臨也

調子に乗ってきた臨也に呆れたなまえは深いため息を吐く

「24歳のキス顔は思った以上にきついよ、臨也」
「なら早く」
「…っばかだ臨也は!」
「んっ!」

勢いよくなまえの唇と臨也の唇がぶつかる
臨也は少々痛かったのか唇を押さえて唸っていた

「ちょっと、痛いんだけど…」
「うう…だって恥ずかしい…!!」
「はあ…ま、可愛いから許すよ。それに、暖かくなったでしょ?俺も暖まったし」
「いやいやこういう暖かさじゃなくて…ああもういいや」

勝ち誇ったような顔の臨也を見てなまえは反論したい気持ちを胸にしまい込む

そんな我慢するなまえに臨也は

「あはは、やった。今年は暖房要らずだ!」
「いだだっ痛い痛い!!!」

骨が軋むほどなまえを強く抱き締めた







(ちょっと、さっきのキス根にもってるでしょ臨也)
(あーおでん食べたいな)
(……)





人間暖房機

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