最上級の感謝を君に


 星月学園の屋上庭園。一樹は、そこのベンチから満天の星空を見上げていた。
 傍らには、寄り添うようになまえが座っている。

「久しぶりだな。ここで星を見るのは」
「そうですね」

 夜空に輝く星を見る二人は、卒業後、それぞれの大学に進学し教育実習生として再びここに戻ってきた。教育実習生として星月学園に来るのをお互いに知らなかった二人は、懐かしい顔を見かけ驚いた。

「別の大学に行って以来、一樹さんとはなかなか会えませんでしたよね。私、久々に一樹さんに会えて、嬉しいです。」
「俺もだよ。病気とかしなかったか?」

 大きな病気は何もしてませんよ、となまえの声を聞き、一樹は安心したように微笑む。
 一樹となまえは、星月学園に通ってた頃から付き合っていた。いや。現在進行形で付き合っているの方が、正しいのだろう。大学が違う二人は、なかなか時間が合わず会えない日々が続いていた。
 そんな中、予想外に教育実習生としてこの星月学園で再会したのだ。

「お前は、昔から無理をするからな。俺は心配でならないよ」
「無理をしてるつもりはないんですけどね」
「気付かない所にも問題があるな」
「でもこれからは一樹さんが、私が無理する前に止めてくれるんでしょう?」

 悪戯に微笑むなまえに対し、「確かにそうだな」と言い一樹も微笑む。

 一樹は思う。
 ――今回なまえと再会できたのはきっと運命なんだろう、と。仮に神様がいるとしたら、そいつが俺になまえの隣にいる理由を作ってくれたんだ。



 一樹はなまえと遠距離恋愛になってからというもの、自分はなまえに相応しくないんじゃないかとずっと考えていた。俺が別れてやった方がなまえの為になるんじゃないか、と悩んでいたのだ。
 そんな時になまえと再会し、やっと自分の気持ちがハッキリした。
 俺はなまえが好きだ、愛している。なまえも俺と再会できたことを喜んでくれている。
 それだけでいいんじゃないか?と。
 あんなに悩んだ悩みも、解決してみれば些細な悩みだった。

「何でこんなこともっと早くに気付かなかったのかな」
「…?何か言いました?」
「いいや、何でもない」


「ありがとう」





最上級の感謝を君に





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お題サイト「涙、のち恋模様」からお借りしたお題で不知火夢を書かせていただきました!
ありがとうございます!
素敵なお題で、スランプだったのに創作意欲がわいてきて久々の更新になりました(*´艸`*)
楽しんで頂ければ幸いです><


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