01 未来から来たアレ



「馬鹿だ馬鹿だとは思っていましたが」
言いながら、黒子はふてぶてしい動作で椅子に腰かけた。
「ここまでとは思っていませんでしたよ。クズが」
黒子の前で正座した火神は、黙って罵声を浴び続けた。
反論できるはずもない。
火神の前には今日返却されたばかりのテストがある。×ばかりの中、一際存在を主張するのは右上に書かれた点数だった。
-10点。10点ではない。マイナス10点だ。
プラスマイナスの境界すら飛び越えてしまった原因は、点数の横に書かれた火神の名前にあった。
「『犬我』の次は『太我』ですか。本当に君は学びませんね」
黒子は椅子から降りると、膝を折って火神と目線を合わせた。
「『火神くんが満点を取るまで僕は未来に帰れま100』というのは理解していますか?」
「…分かってる」
「なのに火神くんは点数を上げないどころかとうとうマイナス値。ある意味君はアンストッパブルスコアラーですよ。僕の怒りが止まりません」
散々言葉のナイフで火神の心を削った黒子は、手を机の上に置いて火神に座るよう指示した。
「君にも僕の気持ちを分かってもらいます。『名前が書けるようになるまで今夜は寝れま10』」
「10…?名前を10回書けば良いのか?」
「10万回です」
「鬼か!」

2013/7/23

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