のろのろと床に降りた黄瀬は火神の前に膝をつき、スウェットと下着を下ろした。見せつけられた痴態に火神のものはそそり立ち、先走りを溢れさす。 黄瀬は躊躇いもなく、火神のものを口いっぱいに咥えこんだ。 「っ…!」 熱い口内と粘膜が与える快楽は、想像以上のものだった。その上黄瀬は的確に先端舐め、吸い上げて、唾液と体液で濡れた手で竿をしごく。意識していなければ、すぐにもっていかれてしまいそうだ。 「黄瀬、腰上げろ」 ソファーから降りた青峰は、火神に奉仕する黄瀬の背後に回る。ちらりと後ろを見て、黄瀬は指示に従う。 青峰は取り出した自身を数回しごくと、一気に黄瀬の中に埋め込んだ。 「っん、ああぁ…っ!」 衝撃に思わず黄瀬は口を離す。 青峰は構うことなく黄瀬の腰を掴むと、思うままに抽挿を繰り返した。 「あっ、あ、っん、あっ!」 深くまで青峰を受け入れて、黄瀬は甘く声をあげる。 生涯目にすることがないはずだった友人たちの性交は、現実感がなくて退廃的で、そのくせ酷く劣情を掻き立てた。 「んっ…ゃ、あっ!」 青峰が黄瀬の体を仰向けに返す。足を抱え上げて、今度は正面から体を繋げる。 青峰の動きに合わせて揺れる胸の先は、触れてもいないのに固く立ち上がる。 火神は誘われるように、黄瀬の胸に触れた。 「っあ!…あ、ん…っかがみ…ち…ぃ」 先ほどの青峰のように指先で乳首を転がし、挟み込む。 「やぁっ!は、あっ…おっぱい…気持ちい…っ」 涙と欲情で濡れた目が、火神を捉える。 「乳首ぐりぐりしちゃ…あっ、だめっ…イク…っ!」 火神に乳首を弄られ、青峰に中を突き上げられて、黄瀬は瞬く間に追い上げられた。 「今日はずいぶんと早いじゃねぇか」 荒い呼吸が整うのを待つことなく、青峰はゆるゆると腰の動きを再開させる。 「これで終わりじゃねぇだろ?」 青峰の意図を受け取って、黄瀬は火神のものに手を伸ばし、口を開いた。 青峰がシャワーを浴びる音がやけに大きく聞こえる。沈黙に耐えきれず、火神は口を開いた。 「…悪い」 情事の跡を色濃く残したままソファーに横たわる黄瀬は、瞼を上げて火神を見る。 「…なにが?」 掠れた声が痛々しくて、火神は眉をひそめた。 謝罪しか言えなかった。散々青峰にやめろと言っておきながら、結局自分は二人のセックスにあてられて黄瀬の口淫で果てたのだ。 「…嫌、だったよな」 黄瀬は抗っていた。青峰を止めるどころか片棒を担いだ自分は、本当に最低だった。 「…ううん」 キシ、とソファーが軋む。体を起こした黄瀬は、火神が座る床へと降りた。 「嫌だったらちゃんと抵抗してる。火神っちなら…良いかなって」 弾かれたように火神は顔を上げる。視線を絡めた黄瀬は、緩く微笑んだ。 引き寄せられるかのように頬に触れる。黄瀬は甘えるみたいに手に擦り寄るから、堪らなくなる。 火神は片手を頬から後頭部へとスライドさせ、もう片方の手で細腰を抱き寄せた。二人の距離がゼロへと近づき、意図を察した黄瀬が目を閉じる。 差し出された唇に触れようとした、まさにその時。 「キス禁止なー」 割って入った声に、二人は文字通り飛び上がった。そちらを見れば、濡れた頭を拭く上半身裸の青峰がいる。 「あと入れんのもナシ。それ以外はまぁ―――」 どか、とソファーに体を沈めて、青峰は不敵に笑った。 「好きにして良いぜ」 もはや共犯なのだ。互いの熱を知ってしまえば、今さら元の関係には戻れない。 契約で繋がれた非道徳な関係は、抗い難いほどに甘く、火神を縛った。 2013/12/29 戻る |