※『黒子っちと俺はよくイビられたよ』から迸る妄想について。




「黒子っちと俺はよくイビられたよ」
「僕は特になかったです」
黒子の否定に、黄瀬は「またまた〜」と笑う。
「ストレッチと称して、あらぬところを弄ぐられたりしたっしょ」
「されてません」
即答に、黄瀬は「ええー」と眉を寄せる。
「ワイシャツ一枚の時に水をかけられたり、練乳入りの棒アイスを無駄に食べさせられたりは?」
「ありません」
徐々に黄瀬の表情は固くなり、声は低くなる。
「…生着替えを強要されたり、舐め回すように着替えを見られたり」
「あり得ません」
「でも、制服やジャージを盗まれたり、いかがわしい液体付きで戻されたりするくらいは…」
「あってたまるか」
「じゃあ…!」
「すみません。もう聞きたくありません」
思い付く限り挙げては否定され、を繰り返した黄瀬は、ようやく一つの結論にたどり着いた。
「……俺だけ?」
「はい」
強くはっきり肯定してやれば、黄瀬はその場に両膝をついて打ちひしがれる。
―――帝光中コエー…。
誠凛バスケ部員が伝説の強豪校に新たな畏怖を覚える中、たっぷり時間をかけて僅かに気力を回復させた黄瀬は、ゆっくりと黒子を見上げた。
「…黒子っち…」
「…はい」
「でも俺、海常でも同じような扱いなんスけど」
「………」


fin 2013/4/15

どこに行っても愛されっ子

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