部活後、帝光中レギュラーメンバーはファーストフード店でとりとめなく談笑していた。
ありふれた平穏な時間は不意に黄瀬が口元を手で押さえたことで形を変える。
「どうした?黄瀬」
「青峰っち…」
隣に座っていた青峰が背中をさする。
黄瀬は潤んだ瞳で青峰を見上げた。
「…できたみたい」
「なにが?」
「子供」
黒子は持っていたバニラシェイクを落としそうになった。
「あー…いっぱい出したもんなぁ」
対して青峰は動揺もなく愛しそうに黄瀬の頬を撫でる。
「いいぜ、産めよ。ちゃんと認知してやる」
「青峰っち…!」
黄瀬は感動に打ち震えながら青峰の手を握る。それから、キャプテンに顔を向けた。
「そんなわけでごめん、赤司っち。しばらくバスケはできないかも」
「産休か。まぁ、仕方ないな」
「おめでとー、黄瀬ちん。男?女?」
「それはまだ分かんないっス」
「安産祈願のお守りをやるのだよ」
「ありがとう」
紫原、緑間の祝辞を受けて、自然と流れは黒子に向く。
「テツ」
なにか言ってやれ、と青峰の目が語る。
「黒子っち」
黄瀬の目は期待に輝いている。
「…そうですね」
黒子はバニラシェイクをテーブルに置くと拳を握った。
「とりあえず全員一発ずつ殴らせてください」




「ああ、お腹は!お腹はやめて!」
「まだ言いますか」


fin 2012/11/29

突然はじまる黄瀬と青峰のらぶらぶショートコントに、キセキの皆は寛容だといい。

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