「青峰っち…?」 丸くなった金の双眸が青峰を見上げている。 ベッドに押さえつけた両腕は、青峰の手を余らすほどに細い。 多少乱暴に扱っても問題なかった男の体とは違う。大事に扱わなくてはと思う反面、自分の欲望でぐちゃぐちゃにしてやりたくなる。 「黄瀬…」 青峰が唇を寄せると、黄瀬は顔を背けた。 「…んだよ」 「やだって、言ってるじゃないスか」 今までも、時々黄瀬がエッチを拒むことがあった。 明日は部活があるから。仕事で朝が早いから。そんなくだらない理由は、青峰が理性と共にぐずぐずに溶かしてやるのだ。 「ん…っ!」 顎を捕らえて無理やり口付ける。 唇を舌でなぞり、甘く噛む。黄瀬が好むキスを与えても、頑なな口が開くことはなかった。 青峰は口付けたまま、右手で黄瀬の腰に触れた。確かめるようにゆっくりと手を上らせる。胸の膨らみまで辿り着くと、黄瀬は体を震わせた。 「っぁ…」 反射のように開かれた口に舌を滑り込ませる。その間も手は休むことなく、柔らかな感触を存分に味わった。 「ん、んっ…、は」 散々に胸を揉みしだけば、黄瀬から抵抗の意思が薄れていくのが分かる。更に追い詰めるために、青峰はぷくりと立ち上がった乳首を指で挟んだ。 「っあぁん!」 それだけでビクビクと黄瀬が跳ねる。新鮮な反応に、青峰の指は同じ箇所を何度も責め立てた。 「あ、あっ!青峰、っち…やっ!」 涙目で訴えられても説得力なと無い。 自然と己の息もあがるのを感じながら、青峰は黄瀬のシャツに手をかけた。 「や…だめ…っ」 弱い抵抗など押さえつけて、引きちぎるようにシャツの前を解く。 「ぁ…嫌…!」 肩を晒すくらいシャツを引き下げれば、丸い膨らみが眼前に現れる。夢中で薄い色をした先端に吸い付いた。 「やぁっ…あっ、あ…!」 舌先で乳首を転がしながらもう片方の胸を直に揉む。すぐに固くなる乳首を親指の腹でぐりぐりと押す。 「っは…あ、あっ…ん!」 もうすっかり快楽に溶けきった黄瀬は、青峰が下肢に手を伸ばしても拒もうとはしなかった。 薄い茂みの下を探れば、すぐに濡れた感触が返る。自ら受け入れる準備をする体に、感動にも似た思いが生まれる。 青峰はしとどに濡れたそこに、指を潜らせた。 「あ…やっ」 怯えるように黄瀬が身を強張らせる。 あやすように首に、胸に唇を落としながら、慎重に指を動かす。 「ん…ん、あ…っ」 十二分に濡れていたためか、黄瀬に痛みは見られない。青峰は更に指を増やした。 「や、ん…!」 くちゅ、といやらしい水音がする。少し大胆に指を動かしてみても、黄瀬は甘やかな声をあげるばかりだ。 「や、あっあ…!あおみね…ちぃ…っ!」 三本の指を抜き差ししながら名前を呼ばれて、青峰の我慢は限界に達した。 「っあ…」 指を引き抜き、代わりにドクドクと脈打つ己のものを宛がう。 「…力抜いてろ」 もう言葉なと理解出来ないであろう黄瀬に一応声をかけ、青峰は一気に黄瀬を貫いた。 「い、ああぁ!」 背を反らして黄瀬が声をあげる。青峰の腕を掴んだ手が、ぎりりと爪を立てた。 「っ…力抜けって…!」 聞こえているのかいないのか、黄瀬が首を振る。 青峰は気を反らそうと胸への愛撫を再開した。 「…ぁ、あ、ん…あっ…」 舐めて、音を立てて吸い上げれば腕に刺さっていた痛みが抜ける。 青峰は小さく腰を動かした。 「あ…ぅん、っん…や…っ」 眉を寄せていた黄瀬の表情が、熱に浮かされたものに変わる。もう大丈夫だろう。 青峰は上体を起こすと、思うままに黄瀬の体を揺さぶった。 「…あっ、あ!や、あっあぁ!」 青峰を受け入れる細い器官は、きゅうきゅうと甘く締め付ける。お互いのもので散々に濡れた感触が堪らなく気持ち良い。 もったいないとは思いつつ、青峰は絶頂を追う動きを早めた。 「や、ん、あっ、あぁん!」 自分の動きに合わせて揺れる胸を見ながら、青峰は欲望を吐き出した。 「…悪かったって」 黄瀬の背中に、何度目か分からない謝罪の言葉を投げる。 「なぁ、黄瀬…」 「別れるって、俺は言ったっスよね?」 壁の方を向いてベッドに横たわったまま、黄瀬はピシャリと告げる。 「出てって」 「黄瀬…」 剥き出しの肩に触れた青峰の手を振りほどくように黄瀬は頭まで布団を被る。 小刻みに震える布団の山を見てしまえば、青峰に言えることは、なかった。 2013/7/26 戻る |