「っあ…!」
何も隔てるものの無い上半身に青峰の唇が落ちる。軽く撫でられただけではしたないほどに立ち上がった突起を押し戻すかのように、青峰の親指が触れる。
「ん、んっ…ゃあっ…!」
もう片方は唇で柔らかく挟まれたと思ったら舌先でちろちろと弄ばれる。そのままきつく吸われると、高い嬌声と共に背が反った。
「すげ…今日は胸だけでイケんじゃね?」
口を離した青峰が低く笑うのにも過敏な体はゾクリと反応する。けれど黄瀬は首を振った。
「や…っ、ちゃんと…青峰っちで、イキたい…っ」
必死に訴えれば、青峰はご褒美とばかりに口付けをくれた。
「ん…ぅ、ん…っんん!」
差し入れた舌で口内を荒らしながらも両手は乳首を責めるのを止めないから、本当に達してしまいそうになる。
「…んっ、や…早く…!」
なんとかキスから逃れて、青峰と自分の昂りを擦り合わせる。余裕がないのはお互い様だ。
「後ろ向け」
言われるがまま黄瀬は体をうつ伏せに返す。腰だけ上げて最奥を晒すこの体勢は得意じゃないけれど、今だけは羞恥よりも期待が勝った。
「ぁ、ん…っ!」
潤滑液で濡れた指が中に入る。久しぶりの行為に固く閉じた体は、強い圧迫感だけを生む。
「…力抜け」
「ん…」
出来るだけ辛くないよう、青峰が丹念に慣らしてくれているのが分かる。意識して息を吐けば、力が抜けたすきに指が奥まで入り込んだ。
「っや、あ…!」
本人よりも黄瀬の体を知り尽くした指は、的確に一番イイ部分を刺激する。
「あっ、あ、ん…っあぁ!」
一度思い出した快感はまたたく間に全身を支配する。指を増やされたって、黄瀬の体は貪欲にそれを飲み込んだ。
「…黄瀬」
散々に中を掻き乱した指を引き抜いて、青峰は熱っぽく名前を呼ぶ。
「ん…入れて」
腰を上げて誘えば、青峰は反り立つ自身を宛がう。ゆっくりと、確かな質量が体内を満たしていく。
「あ…あっ、ひ、あぁ…っ!」
腰を掴まれて全部を受け入れると、黄瀬は軽く達して精液を漏らした。けれど青峰は快楽の波が引くのを待たずに腰を打ち付ける。
「や…待っ…あっ!あ、ゃあ…っ!」
深い抜き差しに体が揺れる。受け止めきれない快楽を逃がそうと背を反らすのに、青峰は胸に手を回すと乳首を摘まんでは押し潰した。
「やぁ!だめ…っあ、あぁ!」
容赦無い責め立てに涙が零れ、開きっぱなしの口から唾液が伝う。
追い上げる動きに逆らうことなどできずに、黄瀬は白濁を吐き出した。


清められた体に洗い立ての服の香りが心地好い。
黄瀬がぐったりしている間に青峰はてきぱきと後処理を済ませ、両手に黄瀬を抱えたままで眠ってしまった。黄瀬は腕の中から体を伸ばすと、無防備な寝顔に口付けた。
どうやら、思っているよりも自分は愛されているらしい。
腕の中に戻って、ぎゅっと青峰を抱きしめてみる。無意識なのだろうけれど、応えるように抱擁が返って笑い声が漏れる。
ぴったりと身も心も寄り添って幸せな気持ちで、黄瀬は瞼を下ろした。


2014/2/28

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