04 デビュー戦
黄瀬がバスケ部に入部して1カ月。今日、帝光中では他校を招いての新人戦を開催していた。
2年生とはいえ、黄瀬の経験は新人と変わらない。特例で試合に出ることになった黄瀬にとって、これが初めての交流戦となった。つまりはデビュー戦だ。
「…手が震えてきたっス…」
公式戦ほどではないとはいえ、体育館には十分すぎるほどの観客がいる。加えて、絶対に敗北は許されない王者としての重み。プレッシャーは察して余りあるだろう。
「大丈夫ですか?」
触れた手は冷たい。デビュー戦には苦い思い出のある黒子にとっては他人事とは思えない。
捨て犬のように震える彼をどう宥めるか頭を悩ませていると、黄瀬の背後から伸びてきた手ががしっと体を抱いた。
「なにお前、緊張してんの?」
「青峰っち…」
いつもなら主を見つけたワンコのごとく飛びかかる黄瀬も、今日ばかりはそんな余裕は無いらしい。可哀想なくらいあおざめている黄瀬の背を叩いて、青峰はからからと笑った。
「良く言うだろ。そういうときは乳首に『人』って書いて飲み込めって」
「言いませんよ」
「……飲み込めないっス」
「君も実践しなくていいんですよ!」
「仕方ねぇな。俺が代わりに飲んで…」
「青峰ええぇ!!」


2014/3/4

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