01 1on1
「あなたの教育係になりました」
ぽかんと間抜け面を晒す彼を見上げて、黒子は淡々と名前を告げた。
「よろしくお願いします」
形式的な小さなお辞儀に返ってきたものは。
「お願いします!」
全身全霊のお辞儀と、満面の笑顔だった。


「黒子っち、黒子っちー!」
今日も黄瀬は見えない尻尾をちぎれんばかりに振りながら黒子にまとわりつく。全身でボールを追う姿は、さながら子犬のようだ。
「黒子っち、どうしたら俺も青峰っちみたいになれるんスかね?」
きらきらと輝く視線の先には、コートで活き活きと動きまわる青峰がいる。
「青峰くんのバスケについては青峰くんに教わると良いです。1on1でもお願いしてみたらどうですか?」
「わんおんわんってなんスか?」
目まぐるしいほどの成長を見せているとはいえ、黄瀬はまだ初心者なのだ。知らない用語を教えてあげるのもまた、教育係の勤めだろう。
「1on1というのは…」
「おー、黄瀬。俺と1on1するか?」
タイミング良くこちらに来た青峰が、汗を拭きながら黄瀬を誘う。
「うん!」
いちもにもなく頷いた黄瀬は跳ねるように青峰に駆け寄ってから、黒子を振り返った。
「いってきます!」


「黒子っちー!」
今日もまた、顔を合わせるなり懐きにくるワンコを受け止める。
「1on1とは何か、分かりましたか?」
「ハイ!」
あのね、と黄瀬は覚えたばかりの知識を黒子に教える。
「若い二人が誰もいない体育館でタマを取ったり取られたりしながらびしょびしょになる楽しい遊…」
「青峰ええぇ!!」

2013/8/20

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