プロンプト救出大作戦(総受)

素早いモンスターはどうにも苦手だ。照準を合わせる前に、敵は視界から消え去ってしまう。
ブロンプトが放った弾丸は、モンスターの脇を掠めて飛んでいった。
「あーもー、全然当たらない!」
「愚痴ったって仕方ねぇだろ」
「そうだけどさぁ!」
グラディオラスの言うことはもっともだが、愚痴だって言いたくなる。
仲間たちは苦戦しつつも確実に敵の数を減らしている。自分だけ足手まといなんて、ご免だ。
焦ったブロンプトは一歩前に出た。それが、致命的だった。
「危ない!」
「ッ!」
イグニスの忠告は間に合わず、モンスターの爪は深々とブロンプトに突き刺さる。
「うわぁー!」
「ブロンプト!」
ブロンプトの体力がゼロになる。と同時に、仲間たちは駆け出した。
「大丈夫か!?」
「無茶すんなよ」
「いけるか?」
「う、うん。みんな、ごめ…っうひゃぁ!」
四方八方から伸びてくる誰のものかも判別出来ない手を取ったブロンプトは、立ち上がるを通り越して飛び上がった。
「ねぇ、今誰か俺のお尻触った!?」
「なに言ってんだ、集中しろ」
「…うん…」
ノクティスに釘を刺され、ブロンプトは銃を構える。
仲間たちは何事も無かったかのように、戦闘に戻っている。きっとさっきのは自分の勘違いだろう。
一人納得したブロンプトは、言われた通り戦闘に意識を向ける。その直後、またしてもモンスターの爪がブロンプトを引き裂いた。
「ああー!」
「ブロンプト!」
そして今度も仲間たちは鮮やかなスタートダッシュで我先にとブロンプトに手を差し伸べる。
「なにやってんだよ」
「しっかりしろ」
「大丈夫か?」
「うん…ごめん、何度もおおぅ!」
助け起こされる、ついでのようにぺろんとお尻を撫でられて奇声があがる。
これはもう、気のせいなんかじゃない。
「ねぇ、さっきから俺のお尻触ってんの誰!?」
怒ってみても、仲間たちは涼しい顔して戦い続けている。
一人でわーわー騒ぐブロンプトを、三度モンスターの爪が狙っていた。


fin

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