LONG NOVEL

たまたま(純太視点) (38/46)

「どうしたんだ名前。さっきから顔緩みっぱなしだぞ、何か良い事でもあった?」
「ふふふ〜わかる?わかっちゃう?」


昨日は世界の終わりみたいな顔して落ち込んでたくせに、今は天国にいるみたいな顔してる。
長年幼馴染をやってればこれがどういう状態の笑顔なのかなんて一瞬でわかる。


「もしかして小野田と話出来たのか?」
「ブッブ〜違います」
「あれ?ハズレ?じゃコラボカフェの抽選に当たった?」
「近い!でも違いまーす」


昨日今日で俺にも予測出来ない何があったんだ・・


「知りたい?純太、気になる?」


勿体ぶりながらスカートのポケットに手を突っ込んで俺の顔を上目使いで覗き込む。


「アニメ関係ってのは合ってる?」
「うん!じゃーん!!見てみてこれ!」


ポケットから取り出し俺の目の前にばばーんと自慢げに差し出した。


「これって名前が好きなやつ?」
「ラブ☆ヒメの有丸くん!カフェスタイルバージョン。レアなんだよ、凄いでしょ!」
「へぇ・・」
「昨日秋葉原にこれ目的で行ったんだよ」


わざわざ秋葉原まで行ったのに今泉にオタクがバレたショックでしてこなかったってやつか。


「で、」
「ん?」
「なんでそれが名前の手にあるんだ?」
「俺があげたんです、それ」


声がした方へ俺と名前が顔を向けると表情一つ変えないままの今泉が部室の入り口に立っていた。


「そうなのか?」
「うん、昨日小野田坂道に付き合って回してみたらこれが出たんだって。いらないっていうから私がお嫁に、じゃなくて頂いた、もらったの」
「小野田に付き合って?」
「そうです、たまたまです」
「ふーん」
「なんですか?」
「別に」


たまたま一回目でレアが出る事もあるだろうけど、今泉がガシャポンねぇ・・


「遅れてすいません;」


小野田が部室に飛び込んできた。


「ああ小野田、他の奴らもまだだし慌てなくても」
「あれ?これって昨日今泉君が出した有丸くん?」


俺らの着替えに気を使って慌てて部室を出て行った名前が置き忘れた有丸くんがベンチにポツンと。


「これ出るまでほんと大変だったね今泉君。やっぱりレアって中々出ないものなんだね」
「小野田!」
「僕の為にわざわざ持ってきてくれたの?ちょっと待って、昨日GETした湖鳥と記念撮影・・あれ?どこに入れたっけ?」


鞄を漁る小野田を背に耳まで真っ赤にして俺から視線をはずす今泉。


「たまたまねぇ」
「/////;」」


フィギュアの持ち主を小野田にバラさなかった事を讃えてこれ以上は突っ込まないでおいてやるよ。

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