SHORT NOVEL

ウザい奴ほど目に留まる1(杉元) (5/21)

「なんだよーその面倒くさそうな顔〜」


そいつは私の方を見ながら今日も力ない面倒くさい声を出す。


「なんで私が杉元に付き合わなきゃならないの?」
「仕方ないだろ、出席番号が前後なんだからー」
「この名字を選んだ先祖を恨むわ」
「そこまで嫌がる事ないでしょ、自分で言うのもなんだけど僕は人一倍親切な男だよ?」
「・・・うっざ;」


文化祭の実行委員でも無いのに買い出し係を無理矢理に押しつけられた。

実行委員じゃないからなんだろうけど、何で私なのよ;

じゃんけんに負けたのは私じゃなくてこの隣でへらへらしてる杉元なのに。


「苗字、杉元と一緒に行って来い、出席番号前後のよしみで」


はぁぁぁ???
なんなのそれ、出席番号とか全然関係ないじゃない!

クラスの出し物の準備に飽き飽きして、ちょ〜っとだけさぼって寝こけてたからってさぁ;

担任に無理矢理お金を持たされ、仕方なく自転車に跨って表門坂をのんびりと下る。

騒々しくキイキイと音を出してる私の横を、シャーなんて気持ちいい音を出してる杉元、なんかむかつくわ!


「ねぇ」
「うん?」
「その自転車って部活の?」
「そうだよ、僕の大切なコルナゴちゃん」
「こるなご?何それ」
「車体に書いてあるだろ?COLNAGOって」
「あ〜・・なんか高そう、そういう自転車」
「まあ安くはないけどね」


杉元はそう言いながら私の自転車にチラッと目をやる。


「今私のチャリ馬鹿にした目で見たでしょ」
「いやぁしてないよ、馬鹿になんか」
「どーせ通学用に買ったダサイ自転車だよ!19800円の安売りですよっ」
「そんな事言ってないだろぉ;」
「ふーんだ」


杉元の自転車とは大違いのただのママチャリだけど、毎日毎日これで通ってんだし。
中学の頃からの長い付き合いなのよっ。

膨れてる私を気にしたのか、その後杉元は無言のままずっと私の後ろを走ってた。


スーパーで大量のお菓子と飲み物と夜食を買い込み、いくつもの手提げを持ってお店を出る。


「ちょっと、あんたの自転車、荷物詰めないじゃん!」
「だからちゃんとリュック背負って来たよ」
「リュックじゃ軽いものしか入れられないじゃない」
「いいよー気にしないで。重いものじゃんじゃん入れて」
「無理でしょ杉元、力無さそうだもん」


私が仕方なしに自分の自転車のカゴに入れようとした重たい袋を杉元が取り上げ、詰めたリュックを平然と背負った。
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