SHORT NOVEL

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「え?鳴子どうしたの?部活は?部活の帰り?」
「映画、観てきたんか?」
「うん、でも」
「誰と?」
「え?」
「誰と観た?誘ったんか?誰か」
「ううん、そう思ったんだけど一人で行ってきた」
「ほんま?ほんまに一人で?」
「うん」


久々のデートなのに目の前にはお好み焼きを焼く何故か怒ってるっぽい鳴子。


「なんでそうなるん?」
「だって・・」
「ちゃんと好きやって言うたやろ?信じてへんの?」
「そうだけど」
「彼氏やのに最近全然相手してあげれへんなって、すまん、申し訳ないていつも思うとる。でも名前の事大大大好きやし、何処ぞの馬の骨かわからん様な奴になんか渡す気無いっちゅうねん!」
「馬の骨?渡すって何;?」
「スカシと小野田君に聞いたんやけど、隣のクラスの奴に告白されたんやって?」
「あー、うん、そう」


お好み焼き、とっくに焼けてるよね?
微妙に焦げてきてない?

鉄板を見詰めたままじっと動かない鳴子の目の前に手を振りかざす。


「鳴子?どうしたの?」
「返事・・何てしたん?」


何て?って、そんなの決まってるじゃない。
言うまでもない事だと思って鳴子には黙ってたんだけど。


「あのね、その事なんだけど」
「あっかーん!!!思うてるのと違う事言われたら絶対立ち直れへんし!!名前をほったらかしにし過ぎてるワイが悪いんやけど、けどもしそうなったらワイはどうしたらええねん!;」


あれだけ好きな自転車の事を今はすっかり忘れて、私の事だけを考えて苦悩してくれてる鳴子の姿がもの凄く愛おしい。

お好み焼きが焼ける匂いに包まれて、お好み焼きをひっくり返しながらこんな話をしてるなんて全然ロマンチックじゃないけど、鳴子が大好きな私にはぴったりお似合いかも。



「鳴子、焼き過ぎてるってば」
「Σはっ!ワイとした事がお好み焼きを焦がすとは;」
「答えはNOだよ」
「ホンマに?」
「ほんま」
「と安心させてからのオチって事は?」
「関西人、めんどくさっ」
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