SHORT NOVEL

      3 (20/21)

手を握られ引かれるままに鏑木に着いていく。
繋がれた手の温度にドキドキしながらも何も言わない鏑木に不安になる。


「ねぇ」
「・・・」
「鏑木?」
「・・・」
「もしかして怒ってる?」
「決まってんでしょ!なんで俺とのデートすっぽかして手嶋さん青八木さんといるんすか!」


突然立ち止まる鏑木の後ろ姿をじっと見詰めた。


「ゴメン;」
「先輩は俺の彼女ですよね?;」
「・・・」
「もしかしてずっと俺に合わせてくれてたんすか?俺の事好きでもないのに?」
「え?」
「俺が強引に先輩に頼んだから」
「ちがうよ、好きだよ、鏑木の事//」
「ほんとに?」
「うん・・・ほんと」


鏑木の顔が一瞬のうちに笑顔になって私の方へ腕を伸ばしてきた。けど、その腕をさっと避けて鏑木の顔をじろっと睨んだ。


「鏑木」
「はい?」
「誕生日、今日なの?」
「はい」
「来週じゃないの?」
「今日15日っすよね?俺来週だと思ってて」
「1月15日生まれ?」
「そうっす」
「なんでそれ早く言わないのよ!」


今日が誕生日ならデートを取りやめたりなんかしなかったわよ;

プレゼントなんか二の次にしてずっと一緒に過ごせたのに、あんたがプレゼントなんか期待するから。


「鏑木ごめん、プレゼント用意してない」
「え?そんなんいいですよ」
「でも欲しかったんでしょ?プレゼント」
「もらえたら嬉しいっすけど、今日苗字先輩に会えたからいいです」
「鏑木の欲しいもの、用意出来そうにない」
「苗字先輩、これ」
「なに?」


鏑木がポケットから私に差し出したメモに『苗字先輩とデート、苗字先輩と腕組む、苗字先輩にあーんしてもらう、苗字先輩に名前を呼んでもらう、苗字先輩の名前呼ぶ』と書き殴ってあった。


「なにこれ、こんなのさ・・」
「先輩綺麗だし、可愛いし、人気あるし、大人っぽいし、俺いつもドキドキしてて。先輩が言ってくれる言葉もいつも半信半疑だし、俺より手嶋さん達の方が絶対似合ってると思うし、けどやっぱり苗字先輩が好きで、諦めるとか無理だし」
「なんで諦めるのよ、あんな強引に告白したくせに」
「2歳も年下だし」


鏑・・・一差も私と同じ気持ちだったのね。


「一差行くよ、欲しいものたくさんあるんでしょ?」
「Σえ!名前///!!」


一差に寄り添い腕を組むと真っ赤な顔して口をぱくぱく動かした。


「なに?」
「もしかして、最終キスとかまで行っちゃってもいいんすか?///」
「お馬鹿たれ!!」
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