SHORT NOVEL

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「じゃ私行くわ;」
「え!なんで?」
「なんでって・・用事あるんだってば」
「それ、俺も着いて行っちゃ駄目っすか?」
「だ、駄目に決まってんでしょ!!」


あーびっくりした!;
何を言い出すかと・・・ていうか鏑木がいたら意味無いでしょ。

なんの為にデートをドタキャンしたと思ってるのよ;

後ろ髪引かれながらも鏑木に背を向け、約束の場所へ足を向ける。


「よ!」
「手嶋、青八木、ごめんね、せっかくの休みなのに」
「気にしなくていいって。二人でこの後寒咲サイクル行くつもりだったし」
「そうなんだ、なら良かった」


手嶋の言葉にほっとして二人に笑顔を向ける。


「でもさ、まさか鏑木とマジで付き合ってるとはな」
「私だって信じられないって」
「あいつが苗字の事好きなのは知ってたけどさ」
「Σえ?!」
「みんな気付いてたぞ、なぁ青八木」


手嶋の問いに青八木が深々と頷く。


「あいついつでも苗字の事目で追ってた」
「あからさまだったよなぁ」


その視線に全く気付かなかった私って;
ていうかあいつちゃんと練習してたの?;


「で、何買うんだ?」
「そこなんだよね;参考として段竹に色々聞いてはきたんだけど・・・」
「きたけど?」
「鏑木の精神年齢がさ;」


段竹に教えて貰った鏑木の欲しい物リスト。
メモ帳に書いてあるものを見るとまるで小学生がほしがる様なものばかり。


「は?なんだこれ;」
「ゲーム、バトルカード、ニホンイシガメ、ボールパイソン、宇宙、地球、不老不死・・・」
「ボールパイソンってなんだ」
「さぁ;」


青八木の手にしてるメモ帳を間に3人顔を見合わす。


「苗字どうすんだ?」
「どうしよう;」
「・・・」
「もうさ、このメモ自体無視した方がいいんじゃね?」
「そうだよね、無理だし、こんなの;」


青八木からメモを受け取り鞄に放り込んだ瞬間、手嶋の向こうでこっちを今にも泣きそうに睨み倒してる鏑木の姿が。


「鏑木?帰ったんじゃなかったの?」
「鏑木?」


手嶋と青八木が鏑木の方を振り返ると、鏑木は挨拶もしないで変わらずこっちを睨んでる。


「おう鏑木」
「手嶋さん青八木さん、何してんすか!」
「何って、買い物」
「なんで苗字先輩といるんすか!」
「なんでって頼まれたから」


鏑木がささっと私の腕を引き、手嶋達から距離を置く。


「誤解が無いように言っておくけどな」
「駄目ですから!」
「は?」
「苗字先輩は俺のもんですから!ていうか今日俺の誕生日なんで」
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