SHORT NOVEL

ティーブレイクしませんか?1(手嶋) (16/21)

「は?」
「何?」
「なんで名前がここにいるんだよ;」
「何でって、パン買いに来たんだけど・・・何かおかしい?」


今日は部活の休息日。
たまにはこうして身体を休めないとな。

今日は久々に田所さんに会いに、ロードに跨り青八木と出向いた。

俺達の尊敬する人田所さんの実家はパン屋だ。
田所さんが卒業するまではよく自転車部に差し入れを頂いた。

美味しいパンを久しぶりに味わいたいってのも理由の一つだけど、3年になった今、後輩指導などの助言を田所さんに貰いたかった。

田所さんの姿を探しながら店内を見回すと、カフェになっているテラスでパンを山積みにしてニヤニヤとパンを食い漁ってる奴が目に入った。


「おかしくはない。おかしくねえけど、なんでわざわざ田所さん家?」
「だって美味しいんだもん」
「美味いパン屋は近所にもたくさんあるだろ?」
「田所さんのパンが食べたかったんだもん」



名前は食べるのを辞めないまま、青八木に気付いて笑顔で手を振る。


「田所さんのパンはどこよりも美味い」
「だよね青八木君!美味しいよね!」
「それは俺もよく知ってるって」
「前は純太がよく持ってきてくれたけど、田所さん卒業しちゃったから全然食べる機会無いんだもん」
「仕方ないだろ; 」
「だから買いに来たの。お土産も買って帰ろう〜♪」
「「・・・」」


俺だって田所さん家のパンは好きだ。
でもお前の目的は・・・それだけじゃないんだろ?;


「おうおうお前らよく来たな」
「田所さん、お疲れ様です!」
「お久しぶりです!」
「今日は部活休みか?たまには身体休めるのも大事だからな」
「忙しいのに押しかけてしまってすいません」
「気にすんな、小野田や赤頭達もよく来てるしな」
「そうなんですか?」
「まあ自主練がてらに寄る程度だけどな」
「田所さん、すっごくすっごく美味しいです!」
「ガハハハ!そうだろそうだろ?うちのパンはそこらのパンとは違うからな」
「やっぱり!田所さんのパンの味がずっと忘れられなくて」
「いつでも食べに来いよ、サービスしてやるから。なんならうちでバイトでするか?」
「え!私なんかがいいんですか?♪」


・・・・って名前!
いつの間に田所さんとそんなに親しくなったんだよ;

家が隣同士の幼なじみで、たまに田所さんに貰ったパンを渡してただけなのにいつの間に。


「純太、名前ちゃんによく田所さんの話してたから」
「・・・; 」


自分で自分の首締めてどうする、俺;
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -