SHORT NOVEL

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教室に戻ったら苗字と純太が楽しそうに話してた。

あの時の様な苗字の恥ずかしそうで嬉しそうな顔を見たくなくて、2人の前を黙って通り過ぎた。


「青八木!」


名前を呼ばれた瞬間、腕を掴まれ力強く引っ張られた。

徐々に離れていく驚いた純太の顔がニヤニヤといやらしい表情に変わっていき、焦りながら宙へと視線を逸らした。





「純太の事、やっぱり無理なら気持ち伝えた方がいい・・いい奴だから」
「うん、知ってる」


俺が純太と長く一緒にいた様に、苗字も純太をずっと見てた。
知ってて当然だ。


「青八木のおかげだよ」


俺は何もしてない。


「手嶋とちゃんと話したのって初めてだったけど、思ってた通り話やすい人だった」


純太は俺とは違うから。


「でも私は青八木と話したい」
「・・・」
「迷惑かもしれないけど、前みたいに青八木とまた話がしたいんだ」


迷惑?
話したい?
誰が誰に?!


「失恋したばかりなのにこんなの良くないかもって思うんだけど・・・私、青八木の事好きになっちゃったみたい」
「!!!!」


・・・・・俺を?
好き?


苗字がじっと俺の事を見てくるから俺は顔を上げられずにずっと床を見てる。

こんな状況初めてだし、顔は上げられないし、こんな時純太なら、純太なら・・・


「青八木に迷惑掛けちゃったし、私の事ほんとウザイって思ってるってわかってる。でも今度こそちゃんと自分の気持ち伝えたかったから」


こっそり苗字の顔を覗き見れば俺の方を見て笑ってる?・・・!!!!


な、なんで泣いてるんだ!?(汗)


ぽろぽろと涙をこぼしながら俺を見て笑ってる苗字。

慌てて顔を上げて苗字の側に駆け寄った。


「なんかすごい緊張して;告白なんて初めてだから」
「俺の所為?」
「そんなわけないでしょ」


涙を拭きながら笑顔を見せてくれる苗字に俺も言わないといけない。

俺もちゃんと伝えたい、ずっと密かに抱えてた気持ち。


「苗字」
「うん?」
「俺も苗字の事好きだ」
「・・・冗談、だよね?」
「・・・」
「ねぇ?」
「・・・」
「本当に?」


俺は深々と頭を頷かせて苗字の顔をじっと見る。


「青八木・・」
「?」
「それなら一瞬でもいいから笑ってみせてよ〜TT!」
「・・・」


そこまで言うならと苗字だけにニコっと笑ってみれば「Σ!!!」と苗字は何とも言えない笑顔を俺に向けた。
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