SHORT NOVEL

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確かに手嶋のクラスに行く事を、手嶋断ちする事を決めたはずなのに、再びここに来てしまっている私。

確かに手嶋断ちはした。

今は相手が違うだけ。

散々青八木に迷惑を掛けて、面倒くさがれて、避けられてるってわかっているのにどうしてもここに足が向いてしまう。

青八木に見つからないようにこっそり教室を見回す。

姿が見えない事にがっかりしながらもいない事に少しだけ安心する。

これじゃまるでストーカーだ;ってわかっているけど、私に向けてくれる青八木の瞳がまた見たい。


「誰探してんの?」
「今いないみたいだからまた後で来・・・Σひっ!?」
「ひっ?って(笑)なんでそんなに驚くの?苗字」


声を掛けられて振り向き様に見た顔は、今までずっとここに来る目的だった手嶋本人で、驚いた拍子に変な声を発してしまった。


「私の名前・・」
「去年一緒のクラスだったろ?それに少し前までよくうちのクラスに来てたよな」


ずっと気付かれてないと思ってたけど、しっかりバレてたのね;

青八木にしか私が見えてないんだと思ってた。


「あー、うん;」
「もしかして青八木?」
「Σえ?!」
「やっぱり。青八木今1年の教室行ってる」
「あ、もしかしてオレンジ頭の?」
「そうそう鏑木、知ってんの?」
「この間二人が一緒にいるのを見掛けて」
「そっか」


手嶋ってやっぱり思ってた通りの人だ。

誰にでも親切だし、話しやすいし、自転車部の主将を任されるのも理解できる。

私がずっと想い続けてた人だけある。


「青八木に伝えておこうか?」
「Σえ!や、いいです、別に用事とかないんで・・・あの手嶋、ありがとう」
「あ、青八木やっと戻ってきた」


手嶋の声に驚いて後ろを振り返ると青八木が無言で私の目の前を通り過ぎる。


「あの・・青八木」


私に一瞥もくれない。


「青八木!」
「!!!」


気付いた時には青八木の腕を掴み、人気の無い場所まで引っ張って来てしまった。


「・・・」
「ごめん;どうしていいかわからなくて・・・嫌だった?」
「嫌・・じゃない」
「手嶋の事がなくなって青八木とこんな感じになっちゃった事がなんかすごく」
「純太と仲良くなれた?」
「え?」
「純太の事、やっぱり無理なら気持ち伝えた方がいい」
「・・・」
「その方がいい。彼女がいても純太なら・・いい奴だから」
「うん、知ってる」


ずっと俯いたまま私を見てくれない青八木に私は笑って答えた。
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