SHORT NOVEL

        3 (13/21)

放課後、バス停でバスを待っていると聞き慣れた車輪音が徐々にと近づく。

去年同じクラスだった手嶋の事が好きで、自転車に乗る姿を一人でよく覗き見しに行った。

必ず通る表門坂の入り口に立ってると、手嶋のいる自転車部の集団がもの凄い勢いで私の目の前を走り抜ける。

その中にもちろん青八木もいて、手嶋が通り過ぎた後私がいる事に気付くと、青八木は必ず目を合わせてくれた。

手嶋に彼女が出来た事を知り、それでもなかなか諦めることが出来なくて、手嶋のクラスに行く事を完全に辞め、自転車部の活動時間とも鉢会わないように帰る時間をずらしたりした。

完全に手嶋断ちをして暫く経った頃、青八木の姿を目にする。

久々に見た青八木は自分の中に存在してた無口で無愛想な印象の青八木とは違っていて、側にいる1年生らしきオレンジ髪の子に優しく話してる姿に思わず見とれた。


「青八木さん、あの可愛い人知り合いっすか?ずっとこっち見てますよ!」
「鏑木、ジロジロ見るな」
「なんか話あるんじゃないっすか?」


漸くこっちを見てくれた青八木と目が合うと、手嶋に感じてたのと同じドキドキに一人動揺した。

オレンジ頭君が私の方を見ながら青八木に何か言ってる風だったけど、その後青八木と目が合う事は無くオレンジ頭君を連れて離れて行ってしまった。


目の前を自転車の集団が一気に坂を登って私の目の前を通り過ぎる。

自然と青八木の姿を探す自分に気付く。

目の前を通り過ぎる青八木はやっぱり目を合わせてくれなくて、青八木の後ろに付いていたオレンジ頭君が私を見つけ驚いた顔をしていた。

バスに揺られながら青八木の顔を思い出す。

青八木はいつも私に優しかったけど、本当は迷惑だったのかもしれない。

事あるごとに視界に入ってくる私を本当は嫌っていたのかもしれない。

手嶋に失恋した今、私が青八木と関わる理由は何もなくて、青八木にとっては漸く面倒くさい奴から解放されたってわけで。


もう関わっちゃいけないんだ・・・


あれだけ手嶋が好きだと言ってた私が今になって青八木の事を好きになるなんて絶対に許されない事なんだ。
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