1:独り

その人は、僕の手を握ってくれていた。


とても優しくて、暖かい手。僕はその手が大好きだった。


一緒にいるときはいつも手をつないで歩いた。離れそうになると、慌てて手を握ろうと走った。


ずっと独りでいた僕は、傍にいてくれる人がいるだけで幸せだったから、それ以外には何もいらなかった。


時が経った今、その人はどこにいるかも分からない。


でも、僕には仲間がいるから、どうか安心していてほしい。


寂しくない、と言ったら嘘になるけど、僕はもう自分で幸せを掴めるくらいに、心と体が成長した。


今度は、他の誰かが独りでいたら、その手を握ってやれるように。そして、幸せを分け与えられたら良い。


…でもね、やっぱり君がいないと、ぼろぼろと崩れてしまいそうで、とっても怖いんだ。


僕はあの頃の君と同じように優しく、そして強くいられるのかな?


言葉すら満足に話せなかった僕は、君に何か伝えられていたのかな?


苦しくてどうしようもないとき、僕は思い出す。


君と、僕と、僕らの仲間たちと冒険したその日々を。


これは、戦争に塗れた哀しい世界を旅した、5人の小さな物語。


最後に、あのとき君に言えなかった言葉を贈ろう。


「君は、僕の願いを叶えてくれた『流れ星』だったんだ」


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