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ベジカカでパラレル妄想


とある地域の一角に、寂れたビル街が存在する。
しかし見えざる地下には、蟻の巣が如く数多にも張り巡らされた道筋と、建造物が広々と設えられている異様なラボラトリーがあった。



其処に研究員として新たに配属された一人、科学者見習いであるカカロットは、然る囚人の記録係を担当していた。
囚人とは言っても正規の施設には投獄されず、実際は研究所で飼われている“実験動物”に過ぎないが。

男の名はベジータ。
長い間政府が手を焼いていた反政府組織、レジスタンスの統制を担う言わば黒幕たる存在だった。


彼は嗤う。
包帯や眼帯に包まれた傷だらけの痛ましい身体で、「所詮は同じ穴の狢だ」と。
けれどもカカロットは、突き付けられた言葉の意味を測り兼ねるだけであった。



然れども、いずれ彼は男の言葉を噛み締める羽目となる。


異常な程早い、毛髪の伸び。
美しい金色の髪は、深い深い闇色へ。
絶えず変化し続ける身体。

やがてはブラッドレッドの体毛が全身を覆い、人類が疾うに失った筈の尻尾を震わせて戸惑うばかり。
黄金に変色した双眸を見開いて、彼は恐る恐る鏡に映り込んだ己を目にして愕然とする。
そして気付けば助けを求めていた。
接触を持つ内に段々と友愛に似た好意を抱き始めていた、かの男へ。


「だから言ったろう?“同じ穴の狢”だとな」


そう、変わり果てた姿となってしまったカカロットに詰め寄られたベジータは、至極冷静な態度を崩さずに彼の長い黒髪を掻き分けて項を指した。
露わになった首筋へと印されたのは、No.0059の無機質な文字。
ベジータの左腕に刻まれた物と同じ、紛れもない“実験動物”の証であった。




科学者の長は語る。
秘密裏に行われる死刑囚を使った人体実験。
生物兵器の全てを。


「何もお前だけではないぞ?この地域全土が巨大な実験場なのだからな。中でもこの研究室に集められた人間は、発症の色が濃厚だった者達ばかり……しかしお前は格別だな。薬の作用を耐え抜いたどころか、かような変化まで見せるとは」

「……オレは……オレ達は!てめえの玩具なんかじゃねぇんだぞ!!人を何だと思ってやがる!!」

「いいや、お前は私のモルモットに過ぎん。信じられんか?なら証拠を見せてやろう」


刹那、カカロットの首筋へと激痛が走る。
脳内を揺らがせる不快なノイズは、忽ち彼の意識を侵蝕してゆく。
科学者は笑った。
自分が首輪もなく実験動物を放し飼いにする愚か者だなどと思っていたのか、と。

否応無しに入り込む“声”に思考を侵され、カカロットは必死にかぶりを振って抗った。
それは強制的なマインドコントロール。



嫌だ、嫌だ、嫌だ!
人殺しになんて、なりたくねぇ!!



「さあ、戦えナンバー0059!手始めに用済みとなったガラクタ共を始末するのだ、お前の力を見せてみろ!!」

「やめろおぉぉ──!!」



アタマが、ワレル──!


己を洗脳しようと鳴り響く騒音に、カカロットの精神も限界だった。
拒否し難い欲求が突き抜けて来る。
この手で人を殺めたいのだと、危険極まりない衝動が。

だがその時、突如として割って入った爆発音に二人は驚きを露わにする。
研究所の床が、大きく振動した。




「後は貴様を始末して終わりだ、マッドサイエンティストさんよ」




カカロットは返して貰うぜ。


扉の前へと立ちはだかった一人の男が、不敵に笑んだ。









取り敢えず全体的な流れを纏めて、書きたいシーンのみを選出してみました。
格好良い王子が書きたかったのです。
頭使って書く話は苦手な為、長編で書く気力は今のところ無いんだぜ!
SS1カカもSS4カカも好きなんで、混ぜたらこうなったと言う……カオスですな、ハイorz

今気付いたけれど、あんまりカプ要素ないなーコレ。








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