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New discovery


それは晴れ渡った空の下。
太陽光を遮る冷涼の木蔭へと隠されるようにして包まれた彼らを、少年は見付けてしまったのだった。



時は少々遡って。
丁度時計が真昼に差し掛かった折、少年は母親に頼まれ事を預かったのである。
今日も今日とて、間近に迫った“セルゲーム”を前に、とんと危機感も無くのんびりと過ごしているだろう父親の様子見に下界へ降りて来た悟飯だったが。
数日振りに帰宅した我が家には、目当てである父親の姿はなかった。

しかしそれもまあ、別段珍しい話ではなかったので(何せあの人は稀に見る自由人なのだから)悟飯は気にせず母親の元を訪れる。
然すれば待っていましたとばかりに熱い抱擁が少年を迎え入れ、これには悟飯も流石に目を白黒させた。

なかなか自分を離そうしてくれない母親を宥め賺して、彼は取り敢えず父親の所在を訊ねる。
わざわざそんな間怠っこしい真似をせずとも、抑えているとは言え超サイヤ人状態な父親の気を探って居場所を特定するのは雑作もない。

けれどももし修業中や、何かの用事を熟している最中だとしたら(後者は滅多に無いが)邪魔になると困るのだ。
そう言った思いを込めて母親の大きな瞳を見詰めると、彼女はポンと自身の掌を叩き。


「悟空さに用なら丁度良いだ!そろそろお昼だから呼んで来てけろ。悟飯ちゃんの分も作って待ってるべさ」


機嫌良くそんな提案をしてくれた。

故にそう言った経緯を辿って、悟飯は父親が散歩と言う名の食糧確保に出掛けたらしい山を目指したのである。
其処でまさか、居る筈の無い人間を目にしようとは考えても見なかった。
確かに父親の傍に誰かが居るらしい事には気付いていたが、それがその人の気配だとは念頭に置いてもいなくて。

だから悟飯が「あっ」と思った時には驚きの余り、派手に茂みを揺らして登場してしまった後であったのだ。



「!?」
「誰だ!!」


瞬時に此方を振り向いた二人の顔は、不自然に強張って見える。
少年を睥睨し、まるで悟空を己の背後へと庇うようにして片腕を広げたのは、悟飯が吃驚する原因となった人物……ベジータだった。

無論、彼らしくないそんな行動を目の当たりにて、少年は尚も大きな翠緑の双眸を見開く。
そして面前に現れたのが自身の息子である悟飯だと認識した悟空は、心なしかホッとしたようにやんわりとベジータを制した。

「どうした、悟飯。おめぇデンデ達と神殿にいたんじゃねぇのか?」
「……あ、はい。そうですけど……おとうさんの事が気になって」

僅かに緊張した面持ちを残しつつ悟空達に近付くと、ベジータはさっさと立ち上がって彼らから距離を取る。
斯く言う悟空も、太腿まで捲り上げられていたズボンの裾を下ろしながら素早く腰を上げた。

何やら妙な空気だ。
悟飯は訝しげに二人を見遣る。

己が幻を目にした訳では無いのなら、先程ベジータは悟空の太腿辺りを撫でながら素足に口づけていた。
例えそれが見間違いにしても、悟空が靴を脱いでズボンを捲っていたのは事実。

一体何なんだろう。
嫌な予感を覚えた物のピリピリとした場の雰囲気が痛くて、悟飯は正直に疑問を口に出していた。

「……あ、あの、おとうさん。ベジータさんと、ここで何してたんです?」
「!え、いや、別になんも」
「……オレとの特訓中にカカロットが足を捻りやがったんだ。それで見てやっただけだ、勘違いするなよ」

悟飯の問いに狼狽する悟空、の言い訳染みた声へ被さったのはベジータの淡々とした言葉。
まるで隠し事でもあるように、二人の対応は矛盾に塗れている。
「大したことねぇんだ」と慌てて付け足した悟空は、悟飯からそれ以上を問われる前に靴を履いてしまった。








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