「ふあぁ、おはよ…。」

「おはよう…。」

大分寒さも深まった朝。布団の中で包まる僕ら。腕に頭を乗せたまま、幸せそうにまどろむ彼女を見てるだけで僕も幸せ。欠伸をする彼女の目尻に浮かんだ涙を拭うと、彼女が顔を擦り寄せてきた。猫みたいで可愛いなと思った。彼女の髪の毛が僕の顔に当たって少しくすぐったい。

「N、あったかい。」

「そうかい?よかった。」

「Nはわたしの、毛布だね。」

「毛布…?」

「そう、ライナスの毛布。」

僕の知らない単語。君は僕にゆっくりと、意味を教えてくれる。僕にとって君もライナスの毛布だった。なくてはならないものだ。今では友達は、ヒトでもポケモンでも多い方がいいと思える。恋人は勿論君で。もしかしたら、何の存在価値、存在する意味も無いんじゃないかと疑っていた僕に、君は優しくただ「僕が必要」だと言ってくれた。僕の居場所をくれた。そこは小さかったけれど、誰かと繋がることで広くなってゆくし、僕が得たもので豊かになってゆく。それは全部僕次第だった。きらめく様な世界を君がくれたんだ。僕の世界を僕が愛さないなら、誰が愛するのだろうか?そう思った時から、白と黒だけだった僕の世界に色が着いた。

「もう少し、寝よっか…。」

「そうだね、おやすみ。」

「おやすみなさい。」

願わくば、これから眠る僕らに幸せを。彼女に優しくキスをして、寝ることにした。




Tiny My Kingdom




20101128
ライナスの毛布(安心毛布)
その対象がないと落ち着かないこと。
その対象によって安心感を得ること。
その対象をライナスの毛布と呼ぶ。

◎Nさん企画に提出させていただきました。
ありがとうございました!

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