短編 | ナノ


「俺もだ」


※幼馴染み設定




星が煌めく時間帯。
酒場に行ったきり、3時間経っても帰ってこない幼馴染みを心配して、名前は幼馴染みが行ったであろう酒場に行ってみた。

なるべく夜道は歩くなと皆から言われているが、名前からしたら幼馴染みが夜遅くまで出歩いている方が問題である。


夜道といっても昼間程に明るいので、なんら問題はない。
酒場に辿り着くまでさほど時間はかからなかった。



酒場のドアを開け、カウンター席を見ると案の定幼馴染みはいかにも香水の匂いがキツそうな女性に囲まれ機嫌よさげに何本もの酒をあけていた。

ゆっくり近づいて頭を少し強めに叩く。


「痛ぇな…、何すんだよ」
『随分機嫌がよさそうだね、バルフレアさん』

少し酔っていて、ムスッとした顔をする幼馴染みのバルフレアに、それに対抗するかのようにムスッとした顔をする名前。


―――心配して来てやったのになんだその態度は。


嫌になって溜め息を吐いて来た道を帰ろうとすると逞しい手に腕を掴まれた。


「…妬いてたのか?」


余裕な態度が癪に障ったのか、図星を指されたのが情けなかったのかは名前自身もよく解らなかったが掴まれた腕を振り払う。

バルフレアはほんの一瞬目を見開き、驚いていた。


だが、そんなことより名前が気にしていたのは周りにいるスタイルのいい女性達。
二十代前半とは思えない、どちらかといえば十代半ばのような自分の幼い容姿とは大違いだった。

バルフレアにはその女性達がよく似合っていた。
いつも大人な雰囲気を醸し出しており、なにもかもが完璧なバルフレアに。

所詮そんなものかと割り切ってはいた。
だが辛いものは辛かった。自分の存在が霞んでしまいそうで。

ただひたすら怖い。


気づけば大粒の涙が零れていた。
賑やかな喋り声や騒ぐ音が遠くに聞こえて、自分の周りだけが切り取られたように、孤独に感じた。


『妬いてたよ、ずっと』


やっとの思いで絞り出した声だった。
今にも消えそうな小さな声。


「………素直になったな」


少し酔っているわりには聞き逃さないでくれたらしい。
名前の頬に手をあてて、親指で零れるだけの涙を拭う。

そして名前の耳に口を近づけて囁くように言った。





「俺もだ」
―――俺もずっと妬いてたよ。





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意味わからん。←
初バルフレア夢がこんなので申し訳ない(´・ω・`)



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