金髪好きの友人から誘われて行った球技場
お気に入りのキャップ帽子を深く被って、流れ落ちる汗を新品なタオルで拭き取る
火照った体は、降りやまない雨とスタンドの歓声で震えたたぎる
熱い…暑い
目から流れ出す水は雨なのか何なのか私にはさっぱりわからない
「惚れたんです」
「よーし、じゃあ反省会をしましょう………と、…その前に、物陰に隠れてる君は何か用かな」
『!?』
キ、気付かれた
『あの、桐青との試合見ました……これ……差し入れっす』
美人な監督さんにギロリと獲物でも見つけたかのように見られ、それに反応した野球少年たちが一斉に私を見るが、負けずに買ってきた牛乳5本を差し出した
「あら、ありがとう。ほら、皆お礼言いなさい」
「「「「「「「「ありがとうございます」」」」」」」」
『!!』
狭い室内での野球部の声はビシビシと体に響き渡り、ぞくぞく感がやばい
「えっと……もしかし入部希望者とかだったりする?」
『え、……えーと』
言葉には出さずコクリと頷く
「まじでか!!」
「俺たちの試合を見て感動とかしたのかな」
「すげー!!」
『??』
頭に?マークを浮かる私をもの珍しそうに皆が見ている
「なぁなぁ!!身長何センチだよ」
『170……』
「俺よりもデケーな、やっぱ」
『?』
何か嫌そうにじっと見られてるんだけど…。ちゃんと質問返したのに
「ところでポジションどこだった?」
あ、この人は確かキャッチャーの人だ、よな?
『ポジション?前衛だけど』
「前衛?もしかして今まで野球したことない?」
「あら、初心者なのね」
『中学まではテニスしてました』
もしかして、初心者じゃ入れて貰えないのだろうか…そうだよね。野球のルールとか知らないし足手まといになるんだろうな
「あのーもしかしてルカ?」
一瞬名前を呼ばれてびっくりしたけど、なんか見た事ある顔がある
『え、あ!!栄口!!なんだよ!!いたのかよ!!うわー良かった知り合い発見』
「ビックリしたー!中学の時は髪の毛長かったからわからなかったよ」
『高校に入ったから気分転換に切ったんだよ』
「何知り合い?」
「あ、そうか。阿部はクラスが違ったから知らないんだっけ。多分見たことはあるとおもうけど」
ん?阿部??栄口の話からするともしかして同中?
「テニス部男子にこんなやついたか?」
「何言ってんだよ阿部。ルカだよ夏目ルカちゃん。何度もテニスで賞状もらったりしてたヨネ」
『優勝したことないけどね』
「(も、もしかして)」
「「「「「「「女!!」」」」」」」
『え、今更ですか』
監督さんまで驚いてるんですけど
「もしかしてマネージャー志望とかだったのかな?」
『はい』
もちろんそのつもりで話が進んでると思ったのだが
「お前女なのかよ」
私より確実に小さい男の子が、嬉しそうにジャンプしていたが
「女…なのか」
今度はしゅんと落ちた
『大丈夫だって、身長なんて今から伸び時でしょ。私はもう伸びないから頑張って追い越してよ』
「ぜってー追い抜いてやるから覚悟しとけよ!!」
むしろ喜んで私の身長を挙げたいぐらいだ
「もしかしていつもポニーテールしてた子?」
『思い出した?』
ごめん。私は阿部君のこと思い出せないけど
「はーいじゃあ話戻すよ皆。えっとルカちゃんは何でテニス部じゃなくて野球部に入ろうと思ったのかな」
『高校に入ってまでテニスをしようと思わなかったんですよ…でーなぜ野球部かというと。さっきの試合を見て惚れてしまったんです』
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