溢れる牛乳



名前





『え、行かないよ』

「阿部ー。三橋んちいかねーってルカ」

確か三橋ってピッチャーの人だけど、何故私が行かなければいけないんですか

「ルカー御飯外で食べよー」

『おー』

「じゃあ俺達三橋ん家に行ってくるからまたなー巨女」

『二度と帰ってくんなよミジンコ』

そういえば最近田島との会話をクラスメイトに聞かれ「お前たちラブコンのオール阪神巨人みたいだよね」と言われたのを思い出した。そしてまた

「ルカと田島君って大谷と小泉みたいだね」

と、言われる

『恋愛には発展しないから安心してよ』

これっぽっちも無いから

「うわーそれにしても涼しいねー、バスケの時は体育館は人の波だし蒸してるし暑いったらありゃしない」

『外だとまだマシだよね』

「ホントホントー」

影になっている木の近くに友人の持ってきたシートを敷いて寝っころがると小さい石が足に当たって痛かった

『ぐぬぬ…』

ガチで痛い

「ほらほらこれだからルカ…は…」

『ん、どうしたの』

言葉を詰まらせて固まった友人の見ている先を見る

あら、団長さんですか

「……」

友達かクラスメイトかわかんないが親しそうに歩きながらこちらへと向かってきている

まぁ正確に言えば私たちの向こうにある自販機に向かって歩いてるのだろう

『……話しかけるの』

「話しかけない」

友人はホントによく縮こまる

『……行っちゃうけど』

目の前をこれでもかって位ゆっくりとスローモーションで団長さんが前を通り過ぎて行っている

「うぅ」

『ライバル増えてるかもね』

「あ、あの浜田君!!」

立ち上がる友人の足を「よくやった」とばかりに叩いた

団長は「ん?俺??」と頭に?を浮かべて、一緒に歩いていた友達が「おめーだよ」と背中を押した


「団長姿…カッコよかったです。あの…」

お、何言うのかな

「昨日来てくれたんだありがとな!」

ニコッとはにかんむと、団長さんが笑うたびに友人の顔が逆に引き締まる
おもしろー

「雨降ったけど風邪とか大丈夫か?」
「応援団に入りたいんんんです!!」


『おー』

面白い具合にハモリましたが…

「え、入ってくれるの!」
「風邪なんて引いてないよ!」

『お前ら一人ずつ話そうよ』

「「………」」

よし、まず浜田からって言うと口をパクパクさせながら嬉しそうに話かけてきた


「応援団に入ってくれるの!!」

「はい!」

好きな人を前にどもるかと思われた友人だが、何かと普通に対応してて関心した


『って、応援団入るの!!』

「入る!!」

まじかよ…恋愛ってここまで人をかえるもんなんだな

「君は一緒に、入ら……ないか」

『私?』

友人を見ていた団長が戸惑いながら問いかけてくる

応援団にはいらないかって?

それを聞いてニヤリと意地の悪い顔をした

『応援団よりかもっと良い場所(ポジション)が私には用意されてるんで』


さも当たり前の等な言い方に団長さんは頭に?を浮かべる
そりゃそうだよな
私だってそんなこと言われたら「こいつ頭大丈夫か」ってなる
つまりは団長さんは私のことをそう思ってるに違いない



「こ、この子は夏目ルカっていうんだ!野球部のマネージャーなの」

「え、マネージャー入ったの!?」

『…と言うことでこの子の事よろしく』

「もう、ルカ…」

『どうっすか、団長さんとその友達がよければ一緒にご飯。この子今日のために頑張って作ってくれたんで』

友人の鞄から重箱を出して中身を見せると、ゴクリと団長さん達の喉がなる

釣られて私も


「俺は別に良いけど…」

「なら俺も…」

『飲み物は無いんで自己負担で』

「じゃあすぐ買ってくる!!」

『私たちは林檎ジュースで』

走って自販機に向かう団長さん達の背中に向かって叫ぶ

「わわわたしのご飯でいいのかな」

『中学のとき調理部だったし、味の保証はするって』

いいなぁ青春



[*前] | [次#]







- ナノ -