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『うっ…ちょっと食べ過ぎた………』
「まだ風呂沸いてないから、リビングにいるか俺の部屋で漫画でも見てなよ」
『ワンパークある?』
「あるよ。部屋に入ったら本棚あるからすぐわかるはず」
『ういーっす』
それにしても佐伯家はいいなー、落ち着くし海も近いしー、虎次郎の部屋は男子のクセになんか女々しいし
『ワンパークワンパークっと、あっぬらりひょんの子孫もあるーんー』
ワンパークも見たいけどぬらりひょんの子孫も見てみたかったんだよね…
とりあえずワンパーク見よう
漫画を数冊持ってベッドへダイビング
くそっ、なにこのふわふわ感!まるでマシュマロに包まれた感!
家のベッドは二段だから固いんだよねー
「あれ、ひかり寝てる?」
急に開いたドアから顔を覗かせ、そのままジーとしている虎次郎
それを横目でチラミして再度漫画を捲る
『ねてなーいよ、ベッドがふわふわ過ぎて寝そうになっただけ』
「ふーん、あっ、そういえば明日一緒に試合見に行くんだよね」
『うん』
「それが目的でここに来たんだろ?」
『うん』
「ひかりは軟式やってたのに、なんで硬式を見たがるの?」
『うん』
「気になる人でもいたりするから?」
『うん』
「…………男?」
『うん』
―パチン
『!?』
目の前が一気に暗くなり、持っていた漫画を落としてしまった
『あっ』
その時窓から照らす薄暗い明かりが部屋に入ってきてるのがわかった
『虎次郎?』
その光の先に見えたのは虎次郎の足だろうか?
月の光は雲によって遮られまた小さな暗闇ができる
『虎次郎?』
―ギュ
『!?』
突然柔らかく重たいものが抱きついてきた
『ちょ、虎次郎…離して』
光が無くてもわかる
これは虎次郎だ
「ひかりがいけないんだ…」
『やっ、ヤダ』
こいつ…さりげなく変なとこ触ってやがる
『とりあえずな、落ち着こう!話せばわかるって』
もう何を言ってるかわからない状態で、頭が真っ白になる
こんなこと…前にもあった
「ねぇひかり…俺は本気で君が好きなんだ」
『なっ』
「いつも本気でとらえてくれないけど…俺は…」
『!?』
ツーと生暖かい舌が首筋を通る
『やめ、ろ…』
何度も肩を叩いてやめろと言ってもやめてもらえず
彼は無言のままで怖かった
『せぃち……こわいよ……』
「!?…
あっあぁ…ひかり…………ごめん」
急に軽くなり、ふと眩しい光が目に入ってきた
「ごめん」
閉められたドアによって部屋の中はまた暗闇になった
『虎次郎…』
下を俯いたまま彼は泣いていた
『ごめん虎次郎…ごめんなさい』
そして私も俯いたまま泣いた
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ってページがありましたら連絡してくれると助かります
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