『跡部さんぐらい上手いとテニスなんかもっと楽しいでしょうね』
「俺様位になると楽しいなんてもんじゃねーよ」
流石200人以上の上に立つ人ですね
気持ちの良いボールの音を耳に入れながら、レシーブを打つ
「女子にしては良い球打つな」
『………』
それは私も思った。今日は調子が良い
やばい、凄い楽しい、フォームも綺麗な感じがするし、何より気持ちよく打てる
さっきからずっと楽しいしか言ってない
『こんなボールが毎回打てれば良いんですけどね』
「ちょっと休憩するか」
『そーですね』
流石にテンションが上がりすぎたのか、結構な汗をかいていた
「お前の入ってる女子テニス部ってのは、強いのか」
『さぁ、多分そんなに強くは無いと思います』
練習サボって男子テニス部見に行くぐらいだし、そう思いながら差し出されたいい匂いのするタオルで汗を拭った
「それは部長がダメだな」
『うちの部長知ってるんですか?』
「知らねぇ」
ベンチに座ってファンタを飲んでいるとあっという間に無くなった
あぁファンタ…名残惜しいよファンタや
「部の状況も雰囲気も部長がどんな奴かによって変わるもんだ…………あーん何見てやがる」
『いや、何か凄いなっと思って』
そういえば切原先輩に聞いたけど、跡部さんって一年のころから部を仕切ってたって言ってたような
『朝練の前に自己練習ってきつくないですか?』
「いつもの事だ」
『…努力家なんですね。一昨日の夜の事が無ければ跡部さんの事ホントに尊敬してました』
「一昨日?何のことだ」
『あ、いえ。間違えました』
そうだった、記憶無いんだっけ
「一昨日と言えば…俺様が襲われた日だな」
『え』
「俺様を襲うなんていい度胸してると思わねぇか?」
『そ、そうっすね』
言えない!!私が金ちゃんに頼んで記憶を消させたとか!
だって本気でやるとは思わなかったし…簡単に記憶が消えるとか思わなかったし!
「正々堂々と勝負してくれば相手になってやるのによ」
『あはは』
このことは心の隅にでも置いときますね
「おや、ひかりさんと跡部君おはようございます」
『あ、ムスカ先輩おはようございます』
「今日はひかりに先を越されたな柳生」
くくっと喉を鳴らし跡部さんは笑う
「幸村君の姿が見えないようですが」
「幸村はまだ見てねぇな」
『あ』
まさに『あ』の口になった私を不思議そうに2人は顔を合わせる。
これはフラグを立ててしまったのかもしれない
「おかしいですね。ひかりさんを起こしに行くと昨晩幸村君が言っていたのですが…」
『あ、は、はは』
本気で忘れていたんだが
『………跡部さん。早速ですが私はホテルに戻ります』
「何言ってるんだ、朝練は今からだぜ」
『ちちちがうんです。向こうから凄い形相で走ってくる人があぁぁっぁ』
「おや、幸村…君?ですかねあれは」
『ではさようなら!!』
「お前もしかして幸村がこ…ってもういねぇじゃねぇか」
「幸村君はこしさんには厳しいですからね」
「ねぇ二人とも、ひかり見なかった」
「………さぁな」
「もしかしたらまだ寝てるかもしれませんよ」
「…それはないよ。合鍵で入ったけどモノ家の殻だったし」
(いつの間に合鍵など…)
(そーいえば合鍵渡したな)
「ちょっと俺探してくる」
「王者立海が女一人に執着するとは笑えるな」
「……何か言いたそうだね跡部。はっきり言いなよ」
「フンっ、練習には遅れるなよ」
「分かってる」
(思ったけど、今更逃げ回っても合宿あと数日あるんだよな…おにいちゃーん)
(みーつけた)
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少女はテニスコートへ走った