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あーあ。温泉ぐらいゆっくり入れないかねー
なんだか入った気になれないよ

『そして、ヤクルトもなければファンタも売り切れ』

小銭を片手にふるふると私は震えていた

『なんでやー!!このやろ!!こんな豪華なホテルのくせにジュースぐらい補充しとけよおおおおお』

「何あんた。これ飲みたいの」

『小学生がなんのようだい』

「む、そんなこと言うんだ。ならこのファンタあげないよ」

『え。何それwって、もしかして君が最後のファンタ買ったの?』

「そうみたい。で、これ欲しいの?」

『いや確かに欲しいけど。……小学生?』

「やっぱあげない」

『あああごめんなさいごめんなさい。欲しいです。シュワっとして冷たーいファンタが欲しいです』

ッポイ

『ちょ、いきなり投げないでよ』

「今日の深夜に補充されるって」

『何が?』

「自動販売機の中身。氷帝の部長さんが言ってた」

『へーってあんたファンタ二本も買ってたの!』

「間違えて二回ボタン押した」

『あーあるある』

「ねぇこっち来てちょっと話そうよ」

『いいよー。はいあとファンタのお金』

「別にいらない」

『いやーさすがにそんなわけにはいかないよね』

「なら明日の夜俺にファンタ奢ってよ」

『あー。まぁそれならいいか』

「……」

『えっと君は…まさか先輩じゃ…ないですよね?』

「俺二年生だけど」

『なん、だと』

「嘘。一年」

『ですよねー。私と背丈が変わらないし…って、あれ怒ってる?』

「別に」

『あぁごめんねw私気にしないからw』

「いや、俺が気にするから」

『あわわわ。そ、それにしても温泉気持ちよかったねー。私温泉大好きだから……でもゆっくり入れなかったんだけどね』

「あんたも温泉好きなんだ。俺も温泉好きだけど先輩たちが泳いだりしててゆっくり浸かれなかった」

『男子は溢れんばかりの人数だからね』

「それに何を思ったかほとんどの人が同じ時間帯に入ってるんだよね。俺もだけど」

『それならゆっくり入れないねw』

「だから明日からは人が居ない時間帯に入るようにする」

『私もそれ思ってた』

流石にこれから一週間あの人たちと一緒に入るってのはきついもんな


「それにしてもあんたって誰?」

『私もそれ聞こうと思ってた』

「……」

『……』

「俺が先に質問したからそっちから名乗ってよ」

『いや、先に名乗ったら負けな気がする』

「俺のおかげでファンタ飲めたよね」

『くっ、なんかムカつくけど。まぁいいや立海のこしひかりっす』

「知ってる」

『なん、だと』

「無理やり連れてこられた哀れな少女なんでしょ」

『何そのかっこいい愛称』

「氷帝のマネージャーが大声で話してるの聞いた」

『…なんかそーゆうのって腹立つ』

「でも無理やり連れてこられたってのはホントでしょ」

『そのことについては否定する気は無いけどさ。で、次はそっちが名前教えてくれるんでしょ』

「越前リョーマ」

『そうか。一週間だけ名前覚えてやんよ』

「そりゃどーも」





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