name





土曜日、午後一時

友達に誘われて行ったカラオケに、なぜか男女で向かい合うように座らされて、自己紹介を強いられた

『こしです。一つ聞きたいことがあるのですがこれはつまりは合コンというものなのでしょうか』

「そうだよ?」

薄々は気づいていた

いつもより気合いの入ったメイクに服、遊びにいく感覚で外へ出た私はもちろんノーメイクで日焼け止めを辛うじて塗ってるぐらいしかおしゃれな行動はとっておらず、『こいつら今日は一段と美に磨きがかかってるな』と、思えば今の状況で…そりゃ美に磨きがかかりますわね!!

ちなみに確信を持ったのはカラオケ店の前で「待った?」と、ナンパなのか、ナンパなんだな?と思った男たちに対して「大丈夫ですよー」と、彼女らが快く招いた当たりからだ

「ひかりちゃんおもろいね」

下の名前を教えていない筈なのに、なぜ先輩(たしか卓郎とかいっていた)は、私の下の名前を知っていた

「ほら、行ってたじゃん!土曜日合コン行くって」

『あーうん、記憶にあるわ』

隣でまるで食に目もないコンチータ様のように目を輝かせたキク子は、お目当てであろう卓郎を見つめながら私にそういった

「そーいえば男子ってもう一人来るんですよね?」

「あーあいつちょっと遅れてくるってさ」

「お、もうすぐ来るってよ」

男子の携帯が同時にチカチカっと光、どうやらラインのグループ会話をしていたらしい

「なぁ一つ聞くけど皆彼氏持ちとかじゃないよね?」

「まっさかー彼氏いたらここにいませんって」

『私いますけど』

「「「「「「え!?」」」」」」

私以外の六人が(このカラオケボックスには現在私を含め七人いる)声を揃えて私の方へと視線をずらした

「ひかり…別れたんじゃ」

『今快斗先輩と付き合ってる』

ここでまた六人の声が揃った

「ごめんお待たせー。ちょっと人混みに当てられちゃってさ」

「あれ、女のこ?」

「ちょっと先輩!女子一人多くないですか?」

『…可愛い人だな』

「僕は男だよ?」

「「「男!?」」」

『男だと…』

フフ、と、柔らかく微笑む目の前の男は…男だ!?…ホントに男!?

はいよる混沌のあの黄色いやつのような、俺の青春は間違ってる的なタイトルの主人公のある意味ヒロイン的男子テニス部の………つまりこいつは















美少年



と、言うことでつまりは美少年=


「君、名前は?」

『こしひかりです』

「僕はね、胡桃沢静(くるみざわしずか)って言うんだよろしく」

「な、こいつ女みてーだろ。俺らのアイドル」

「やめてよ卓郎くん、アイドルなんて」

「「「(美少年だ)」」」

「そーいえばこしさんは黒羽君と付き合ってるんだよね?どうなの、彼」

私と一番離れている男性軍団の(確か野仲先輩)が、変なことを言うせいでまた私に視線が注がれている

『普通です』

「へぇひかりちゃんって快斗君と付き合ってるんだ。いつから?」

『夏休みからです』

「どっちから告白したの?」

『たぶん私です』

「多分って?」

『ノリです』

「じゃあ快斗君とどこまでヤったの?」

『ウザいです胡桃沢先輩』

「静でいいよ」

この人はいつもこうなのだろうか…初顔合わせで五分も会ってないが、いまここで言わせてもらおう







正直うざい


『そんなに気になるんですか、私と先輩の事』

「うん、僕もっと君の事が知りたくなってきちゃった」

「「「「「「『え』」」」」」」

盗み聞きしていたのか、横の人たちも彼の言葉には反応をした

「君の事もっと教えてね?」

これが美少年ではなければきっと私はボロクソに台詞を言い捨て、この場から去っていただろう


美少年じゃなければ













合コン開始10分後で感じたこともない空気が流れ始めた



[*前] | [次#]











TOP
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -